カンラン 覧|←過|未→ |
ちっちゃな蜘蛛と暮らしています。 この蜘蛛に双子の兄弟がいたとして 私の小指の爪の上で仲良くおしゃべりできそうなぐらいの ちっちゃな蜘蛛 気付けば 「蜘蛛は殺してはいけません。」 といういいつけをいまだにきちんと実行しているようで けれどもそれは 「蜘蛛は悪させんから。」 という理由からなのか はたまたいつだったかのテレビで見た 「蜘蛛は古くなった家屋をその巣でもって守ってくれるのです。」 という外国の人の話を聞いたからなのか 私にはわからないけど 現在蜘蛛と同居 ちっちゃな部屋のつやをなくした床がいたくお気に召したようで ベッドから降りてスリッパ履こうとするとき 一日のはじめに顔を合わせ続けている おしろいの粉 革のはぎれからこぼれ落ちたくず あかりとりから差し込む午前中のひかり お行儀悪く端っこが捲れあがったマット 窓から流れ込む風に乗っかって漂うベビィパウダァの匂い そういうものが好きでこの小さな部屋に居座ってるの? おんなじ趣味してんね 次にいいとこ見つかるまでいてもいいよ 床からわずかに数センチ ぶらさがったコットンのふくろに しがみついたままの蜘蛛に いってきます
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