カンラン
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2002年09月22日(日) 沈殿





あれから一年が経ちます。

お元気ですか?

季節の変わり目や環境の節目に届くお便り,

ちゃんと受け取ってます。





あれからもう一年。

やっと一年経ったんだから

返事を出すべきなのかも知れませんが,

書き出しを考えようとすると頭の中に

ひどい曇り空のようなうずが瞬く間にあらわれ,

そして私の手は一向に動かないのです。



あなたが気にしてた私の近況。

私らしい,と言って歯をのぞかせて笑う姿が浮かぶようですが,

あれからこれと言って変化はありません。



こまかなことだと・・・



・しばらくして日記をつけ始めました。
(三日坊主の私にしては,なかなか続いているのですよ。)


・南の島に出掛けられるようになりました。
(島は違うけれど,あなたから南の島便りをもらってすぐのことでした。)


・食事中に話すようになりました。
(まだテレビの音がないと多少しぃんとしてしまうけれど。)


・電車の中から見える川沿いのベンチがひとつの風景として映るようになりました。



ささいな変化です。



最後の私の姿に上塗りしてもらえば

楽になるかも知れないのに

私と来たら

ほんの数メートル先を揺れるあなたの背中を

夏のお祭りでにぎわう通りで見たとき

からだの自由がききませんでした。

ちらりと見えた笑った横顔が唯一の救いでした。



笑えるようになったね。



そのときに

ぴんと張っていた糸にようやくはさみをあてる決心をしたように思います。



正しいだけじゃたどりつけないところに

私たちはむかうものなのかも知れないですね。





あれから一年が経ちます。

私の足はまだちゃんと地面をつかんでるよ。






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