早瀬の呟き日記

2002年08月09日(金) 有事法制まとめ

ここ数日どーも腹の調子は悪いし肌も荒れるし苛々するしだるいし「トップガン」録画してたら弟がウッカリ途中で電源切りやがったし、ああーまったくもう!と思っていたら、いつものヤツでした。
うう・・・連日冷房の中にいるせいか痛みもひとしお・・・(泣) 月並みだが、くそー男だったらなあ、と思うケースその1です。ちなみにその2は、SUGIちゃんや西川に突っ込(自主規制)
そんな状態ではありますが、有事法制の問題点がまとまってきたのでちょっくら整理してみます。生理だし。(←言うな)

まず、有事法制というのは「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改正案」「安全保障会議設置法改正案」の3つを言いまして、完全な新法は「武力〜」だけです。で、ものごっつ要約して言ってしまえば、これらは自衛隊が実質日本国軍として活動しやすくするために国民全体の生活をコントロールできる法案。これらが成立して更にメディア規制3法が加われば、かなりな戦時国家状態となるでしょう。総動員法みたいなものです。しかしそれも当たり前と言えば当たり前で、何故なら現在日本は建前上軍備を完全に放棄しているので、基地以外の軍用施設などというものはないのです。従って、いざ自衛隊が軍事活動を行なうとなったら、公共施設や民間の施設(病院とかね)を軍用として使用する以外にない。勿論、食糧や輸送関係、工場などの事業者も同じ。それを可能にするのが有事法制各種ということになります。
私も知らなかったのですが、現行の自衛隊法でも危険な時には防衛出動ができるのですね(同法76、77条)。では何故新法が必要なのかと言えば、日本の領土内への武力攻撃(あるいはそのおそれ)だけでなく、日本の周辺で「武力攻撃事態(おそれを含む)」が発生もしくは発生が予測されるに至った事態、にも対応できるようにするためです。「武力攻撃事態のおそれの発生が予測されるに至った事態」となるともう訳がわかりませんが、とにかくそういうことで、米軍に協力しつつ(ここも実はポイント)自衛隊に行動してもらおうと、そういう案です。
周辺、と言うと具体的には中国とか北朝鮮あたりとのいざこざ、ということになるでしょう。実質的にこれはやられる前にやってしまえという集団的自衛権の行使になる訳で、従来の政府見解では日本は「集団的自衛権は有していても行使はできない」ことになっているため、その辺に触れないようにして「打って出る」ことを可能にするのがこの法案です。それはもう日本の外交の「負け」を意味すると私は思いますけどね。
さて、この「武力〜」の問題は何かといえば、↑に挙げたようわからん事態において行政の権限がかなり強化されることと、国民の軍事活動に対する良心的不参加を排除しようとする点だと思います。
行政とは、内閣や地方自治体でありますが、本法案においては内閣総理大臣(以下首相)の権限がかなり強くなっています。まあ、軍事行動というのは1人がてきぱき判断する方が圧倒的に効率がいい訳で、だから戦時下には独裁者が生まれやすいのですが、それが首相ですよアナタ。小泉さんが指揮してる図はなかなか男前だわvと思うかもしれませんが、あの森喜朗氏とかだったらどうですか。ホンマに大丈夫なんかこの対策本部は、って感じ。首相は武力攻撃事態(以下略)において、地方自治体及び指定公共機関(その時々で内閣が決める民間団体も含まれる)が対策方針の指示に従わなかった場合、自ら実施することができます。地方分権て何、という状態です。自民党が国民にはよくわからん意図でいつの間にか決めてる首相に、こんなことされても不安じゃないですか? 民間も含まれるということはつまり、もし自分の勤め先が「指定公共機関」にされたら、「私はあらゆる軍事行動に反対なので協力したくありません」という主張は通らない、ということです。民放がそうなったらたぶん、戦争反対とか自衛隊は違憲だとかの内容の番組は規制されるでしょう。
また、「自衛隊法改正案」における物資の保管命令、収用、各種事業者への従事命令は都道府県知事が出すことになり、立ち入り検査も行なえます。ちなみにこの立ち入り検査は地方公務員が行ない、しかも罰則規定も設けられそうな気配なので、これから地方公務員になろうとしている方、有事法制が成立したら民間人の敵と見られるかもしれません。覚悟しましょう。ついでに、立ち入り検査が行なわれるとなるとかなり事態は切迫しているでしょうから、「敵」が兵站線を断つという攻撃をしてきた場合は・・・覚悟しましょう。特に東京都は知事があの石原慎太郎氏です。銀座で戦車走らせたあの人です。生活物資や輸送業、医療業など大喜びで軍事優先にするでしょう。
ところで、もし知事が自分の判断で実施を拒否した場合、「武力〜」との関連で首相がやっちゃう、ということはないんでしょうかね。
さて、2番目の問題としては、「武力〜」「自衛隊法改正案」共に、損失補償の制度がどうにも不十分であり、かつ「武力〜」においては「国民が協力をしたことにより受けた損失に関し、必要な財政上の措置を講ずるものとする。」(21条5項)ということで、協力しなかった場合の損失は無視されています。「自衛隊法改正案」では、申請をすれば補償が得られることになっていますが、自衛隊の陣地作成のために勝手に家を壊されたり移されたりして、「1年以内に申請すればお金出しますから」と言われても、その間どこで暮らせばいいんじゃい、という話になります。しかもそのお金は都道府県が出せという。なんで自衛隊の後始末を都道府県がせにゃならんのじゃ。立ち入り検査や保管命令に違反した場合の罰則規定については既に述べたとおりで、しかもそれが行為者だけでなく行為者の所属する法人、雇用者にも及ぶようです。(124〜126条) ・・・マジで?
さて、大体個人的に問題視している部分は以上です。要するにどちらも、「日常生活の軍事優先化」であると言えます。それを「当然のことだ」と考えるか「要らん負担だ」と考えるかで、この法制への視点は分かれるでしょう。
個人的には、この際憲法9条を改正して自衛隊を国軍にして有事法制作って戦争できる国(国民が戦時体制を受け入れる国)になるか、やっぱり9条のとおり軍備はイカンし軍事行動もイカンということで有事法制廃案にして、自衛隊を「国際救援部隊」に変更する、という2つの道を考えています。自衛隊の「サンダーバード化」(笑)は、早大法学部教授水島朝穂氏のアイデアで、私もうすらぼんやりと、NGOの護衛やった方がグローバルな貢献なんじゃないだろうかと思っておりました。幸いというか何と言うか、日本人は宗教や民族に対する畏敬の念も薄い代わりに、深い怨恨を持っている訳でもありません。これは、上手く活用すればかなりいい特徴になると私は思います。
政府が「国際貢献」と言うときにどこか胡散臭いのは、その「国際」に開発途上国が入ってるのか?という疑問と、「国際」ってのは海外進出企業のことじゃねえぞ、と思うからです。
何故「国際貢献」と言いながらアメリカの顔色を窺うのか。安保条約だけではなく、アメリカと日系企業との結びつきがあるからです。(経済動向はよくわからないので、深入りしませんが)
結局のところ国民主権ですから、皆が決めたらそうなるしかない。何が何やらわからんままに進むのが一番よくないのです。民主主義の国民であるということは、この国で起きた悪いことに、私は有権者数分の1の責任を負っているということです。

「私は思う。世界のあるべき姿は、今より少しだけいい世界だ。
その世界は、相変わらず私に陰口を叩くだろう」
         http://www.alfasystem.net/return/06-3.htm

〈参考文献〉
「有事法制Q&A」弓削達監修 反改憲ネット21編/明石書店
「有事法制のすべて」自由法曹団編/新日本出版社


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琳 [MAIL]