Dance日記帳
モクジキノウヨクジツ


2007年02月26日(月) 手練手管

「手練手管」と書いて、テレンテクダ。
何とも云えぬ、響きがキュートな言葉だ。意味合いは別として。

本日は映画レビュー。

まずは皆様も既にご覧になっているかと思う「Dreamgirls」
只ヒトコト。素晴らしい。
兎に角、作品の中の歌が素晴らしい。
本日発表された助演女優賞をジェニファー・ハドソンが受賞したのも当然と頷ける。
ダンスシーンは期待値には達しない。ダンスを見るというよりも、R&Bを満喫するための映画。ジェニファーの声には本当に感動する。
ライブやコンサートで生の歌声を聞いて、鳥肌がたつことはあっても、映画で歌を聞いて鳥肌がたつことは初めてだ。
「映画を見に行く」のではなく「R&Bのライブを見に行く」のが正解。

しかし、ビヨンセは本当に美しい。麗しい。マーメイドラインのドレスにしっかりと浮き出る身体のラインも綺麗。

NY在住時代、黒人のルームメイトたちを見ていていつも思っていた。彼らにとって歌や踊りは本当に「Life」のひとつであって、生まれた時から馴染んできたもの。子供の頃から教会で毎週のようにゴスペルを歌い、自宅に戻れば母親がキッチンで歌いながら食事を作る。生活環境に歌も踊りも欠かせない。私たちとは全く根底が違うのだ。
ルームメイトがシャワールームで歌うミュージカルソングを毎朝のように聴きながら、歌い踊るために生まれてきたかのような彼らを妬み羨望した。

作品中にも出てくるが、彼らのカルチャーはことある事に他の人種に盗まれてきた。
ジャズもタップもソウルもラップも。
だが、こうしてこの作品を見る限り、どんなに他の人種が盗もうとも、彼らを超えることは絶対にないのだ。

来月のレッスンはこの「Dreamgirls」より「One night only」を予定している。
うんとHotに踊れたら好い。

次に「さくらん」。

蜷川さんが監督だけあって、写真集のような鮮やかな映画。
大門の上に金魚がおよぐという無理な設定さえも納得できるヴィヴィットさ。
作品の所々に感じる「こだわり」が堪らない。全体に渡って、艶やか。
「郭」という空間を、何とも煌びやかに華やかに表現している。

この作品は、庵野モヨコさんの原作を映画化が決まるよりもずっと前に読んでしまっている。
先日観た「愛の流刑地」もそうだが、基本的に映画化される作品の場合、その原作は読まないようにしているし(先入観があると楽しめないので)、もしも原作を読んでしまっていたらDVD発売を待つようにしている。
矢張り、細かくディティールが描ける小説や漫画の原作を読んでしまうと、2時間程度でその全てを語ろうとする作品作りにはリミットが感じられて楽しめないものだ。
「この部分をもっと映画で使ってもらいたかったのに…」という不満が溜まる。
だから、今回も不満だらけになるだろうと覚悟しながら座席についた。
しかし、この作品については、原作を超える良さが映像にも脚本にもあった。
あまりに此処で書いてしまうとネタバレになってしまうので、多くは語りませんが。

ちょっとしたシーンに踊る部分があったのですが、これも思わず「まずい!日本舞踊の稽古に行かないと!」と思わせるレベルで(通常だったら「なんちゃって日本舞踊か〜」とがっかりするものだけれど)、最後のスタッフロールを見たら矢張り花柳流。どうりで…。

使われている衣装や部屋のセットは現実を見事離れたもので、スリル満点ですが、「SAYURI」に比べればきちんと文化のベースを設定してあるのがわかるので不愉快に思うところが不思議とありません。
完全なる「さくらんワールド」。この世界観、凄いです。

ドラマ大奥でも虜になった「菅野美穂の意味深微笑」も見られますし、何より、アンナちゃんが最高。あのキュートな顔でハスキーヴォイス。そんなちぐはぐさも堪らない。
「下妻物語」で十分ファンになったのですが、今回のこの作品で更に虜になりました。


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