Dance日記帳
モクジ|キノウ|ヨクジツ
日記のタイトルだけ見ると、少々怪しい。 しかし、先日からの日記を読んでいる方には何を謂わんとしているか、すぐに察知できるだろう。
「平成風俗」がドロップダウンされた。 当然の如く、事前に予約を入れて、発売日に速攻ピックアップしに行く。 周りのプラスティックラップを剥がすのももどかしく、プレイヤーへ。 曲のリストを見るだけで十分予測できたが、それはもう、想像を遙かに超える作品だった。
今更、此処で語らせて貰いたい。
何故、林檎なのか。
彼女ほど、日本を代表するジャズもシャンソンも歌い、創れるアーティストはいないから。 一般にはロックと称されているようだが、それはカテゴライズが違う。 今回の「平成風俗」をじっくりと聞き込んで戴きたい。 リリックの言葉選び、耳に残る音をどう表現するか、フックとして密かに入れる和楽器、巧妙なアレンジ… 其の素晴らしさを此のようにして言葉にするのも可笑しい。
兎に角、今回のアルバムに於いても、彼女の才能の素晴らしさにひたすら感動するしかないのだ。
彼女の歌声を「聞き苦しい」「汚い」などと謂う輩も存在する。勿体ない。 単に、美しく、パーフェクトな声など、どこに魅力があるのだ? ダンスも同様。 単に、美しく、パーフェクトな踊りなど、パリオペラ座のプリマバレリーナに任せておけば良い。 美しい歌声ならば、パヴァロッティで満足して戴きたい。
何処か、少し、歪で、アンバランス。 其れが、脆く見える傍ら鋼のように強く。 何時、失うか、不安感で一杯になるほどの儚さ。 時に優しく、時に淫靡に。 斑があり、癖があるから、堪らないのだ。
人は、生きている限り、いつまでも不安定で揺らいでいる。 だからこそ、いつの日か完璧になれればと夢をみることができるのだ。 完璧になることが仕合わせなのではない。 夢を見られることが、仕合わせなのだ。 其れに気付かせてくれた、最高のアーティストが椎名林檎だ。
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