Dance日記帳
モクジ|キノウ|ヨクジツ
先日、上映中の『ワールドトレードセンター』を観てきた。
昭和から平成、私の青春真っ只中はNYで過ごした。 一番アクティブで怖いもの知らず、何事にも興味津々。其のような濃密な時期をあの街で過ごした。 だから、私にとっては、たった数年の滞在であっても、まるで『第二の故郷』とでも呼べるほどの場所である。 沢山の人と出会い、別れ、沢山のことを学び、経験をした特別の街だ。 其れは、街の隅々に、未だに鮮明な記憶として残っている。 オーディションの帰りに立ち寄ったカフェ、当時の友人と歩いた14丁目、日本からやってきた母を連れて行ったMacdogalストリート、生まれて初めてひったくりを目の当たりにしたキャナルストリートの駅構内。 そして、ワールドトレードセンターにも多くの記憶が残っている。
9.11のあと、まだワールドトレードセンターまでの地下鉄が動いてない時に歩いてグラウンドゼロまで行った。 テレビの報道で見た以上の悲劇の残骸が残っていた。 柵に貼り付けられた「Missing」の紙。供えられた花。そして、まるでそこだけ消し去られたかのようにがらんと空いた地面。
私の記憶のところどころにワールドトレードセンターのツインタワーが風景として残っている。 街で迷った時、道の先にツインタワーがあるかセントラルパークがあるかで北か南かを確認した。親友がバイトするSohoの店に歩いてゆく時には、必ず目の前に夕日に赤く照らされた美しいツインタワーがあった。 何よりも、日本からNYへ行く時に機中から見えるダウンタウンの真ん中に誇らしげに建つ姿が鮮明だ。クィーンズからブリッジを渡る時にもその姿を毎度眺めた。 もちろん、あの街と別れる日も。
ただ、何年も経った今でも、あのビルがすっかりなくなってしまったということに納得がいかないのだ。
映画の内容については、これからも観に行く人がいるでしょうから、多くは語るまい。 ただ、照準をたったふたりの警察官の生還にしぼっているだけに、予想されるほど深い映画というわけではないので、期待して観に行くと少々がっかりするかもしれない。 過去にテレビでやっていた再現ドラマのほうができが良かったように思う。
このテーマについて、あれこれ語るほど私は強くもなければ賢くもない。 ただ、これだけの人が犠牲になった事件なのだから、簡単に忘れることをせず、今後の教訓として世界中の人が心に留めておいて欲しいと思うのだ。 人と人は憎しみあうために生まれてきたのではないと信じたい。
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