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「 芸大受験のノイローゼは現実そのもの 」
2020年08月15日(土)

 

漫画を読んだ。

芸術大学受験、3回浪人する。

苦悩し、ストレスを抱え、内なる声にさいなまれ、続けた。
1回目の浪人、2回目、3回目の違いが丁寧に描かれていた。
最後に合格を果たし、「どんな絵を描いていこうか」と希望を胸に入学する場面で、漫画が終わる。

そしてそれは、受験期のノイローゼから希望へと移っていくことが正常であるかのように、世間一般では見られている。

しかし、そうであろうか。

私達は死すべき存在者なのである。

「長く生きよう、永遠に生きよう」と希望を持っても、かならず不合格が出され続けてきた存在者なのではなかろうか。

古来、人は長寿を望み、永遠の命を望むがゆえに、天国を作り出し、あらゆる努力を払ってきた。
しかし、「長く生きよう、永遠に生きよう」という試験を受験して合格したものはいない。

私には、ノイローゼの時期こそが正常であり、希望を持つことこそが、幻想にすぎないとさえ感じてしまう。

幻想を持つことを全否定するのではない。幻想を持つから、ノイローゼがはっきりし、絶望を認識できるのである。

けれども、そのノイローゼを正常とする判断から逃れる訳にはいかないように思う。
その現実しか、死すべき存在者に持つことができないであろう。

空想、幻想、夢想、理想は幾らでも持てるのだけれども、持つことができないであろう。

富や名声、家族や仕事に恵まれようとも、それは本当の現実とは言えない。

なぜなら、死すべき存在者だからである。


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