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「 真理とは愚かさの結晶化 」
2020年05月15日(金)




 たおやかな富士は北の山中からみると

 四角四面の富士は南の山中から浮かぶと

 雄大な富士は西の茶畑からつっきると

 哀愁の富士は東の平野から探すと

 
 日本一の眉目秀麗な山でさえ、その多面性に驚くことがある

 宇宙全体を包み込むほどの広さがある心を持つ人の多面性は筆舌に尽くせなくある

 当たり前を徹底して知ることに人生の真理がある

  
 伊豆の達磨山からの富士は、映画のスクリーンに映ったような富士で、余所余所しくて、他人行儀で、感動する気持ちが抑えられてしまった

 かきつばたの唐衣のように着慣れてしまった人でさえ、場所を変えると歌に詠むほどの気持ちに移り変わってしまう

 どのようなものにも慣れ親しみ、形式主義化していってしまう人の愚かな性質を、徹底して知ることに人生の真理がある

 
 人として誕生させられ、人に育まれてきたのだから、人の性質を知ることの大切さは、何よりも第一なのではなかろうか

 恋心や情緒が、それは人の第一のものであろうか


注記:「かきつばたの唐衣のように」とは、『伊勢物語』の一首「からころもきつつなれにしつましあればはるばる来ぬるたびをしぞ思ふ」を指す。人の愚かさを知らぬゆえに生まれた歌ではなかろうか。


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