「あぁあぁぉ・・・」
思わず、のたまわった。
「お前は、きちんとした定職に、地位の高い職につけないじゃないか」
という心の動きが、口に移ったから。
すかさず、
「でもでも、家族と一緒に過ごせるし、孝行できているし、今日も・・・」
という反対の動きがでてきた。
「あぁあぁぉ・・・」
心の動きはマイナスでプラスを消すことはできない。
忘れるな、忘れるな。
ちょっとして
「定職、地位はお前の望むことだったか?」
とマイナスを削除しようとする声もできた。
「あぁあぁぉ・・・」
心の動きはマイナスを削除して平地にすることはできない。
忘れていた、忘れていた。
深く心の海を潜っていって
「命がある。だからこうして寝れる。悩める。苦しめる。空気がある。息ができる。お前の外のもののお陰で悩めるんだ。」
とマイナスの乗った土台を持ち上げた。
マイナス、プラス、ゼロ、削除、ではない。
それに対はない。
ゆえに、絶対浮揚(ぜったいふよう)とでも言えるだろう。
心の動きにだけ現れる、物質現象とは異なる、悩みを浮かして持ち揚げる立場。
欲念の深い私には救いとなっている、その立場。
毎夜、毎食事に念誦(ねんじゅ)して強欲と傲慢を浮かして持ち揚げようとしている、その立場。