パチリ、と目が覚めた。
過ぎ去った台風が、まだ朝日を隠していて、ぼんやりと灰色としていた。
部屋に敷き詰められた布団5枚
おどるような寝姿で、ころがっている家族たち
「これが俺の家族なのか? これが俺の家族なのだ」
胸で他人がささやくようだった。
「子供を産めない男は、哲学や会社や色々なものを作った」
若き日の私がささやいてきた言葉が出てきた。
思想を打ち立てるという野心を捨てきれず、家族も愛おしい、
両方美味しいところを取ろう、
両方持たなければ思想は打ち立てられないよ、
いろんな声が聞こえてくる
これが私の声だ、と実感した。
迷い苦しみ、目の前の現実を実感できない、そんな感覚の中、じっと奥底から見続けている、それが私だと。