「きれい」窓を叩く雨の向こうに、うっすらとその通り道が残る空を眺めていた。輝きはその残滓までもが輝くものなのだろうか、その問いに返ってきたのは輝いた声での輝きのない答え。ありふれたもの言いはこの先の何かを示す道だった。「きれい」僕がこの言葉を発するまでには随分の時間がかかってしまった。僕は思い出す、あの時の問いを。そして既に答えを得た自分に気づくのだ。
執筆者:いおり