2006年02月24日(金) |
石持浅海『扉は閉ざされたまま』 |
不思議な静かさと緊張感ともどかしさで一気に読ませるミステリーです。
大学の同窓会でメンバーを殺した伏見。 殺害シーンははじめに描かれているので、読んでいる私は伏見の視点でいかにしてこの殺人を事故死として成立させるかを見守っていきます。 ところが物語は本当に静かに進んでいきます。 死体が発見されないから。 そこに集まった4人は残りの1人が扉の向こうで死んでいることも知らずに酒を飲み続けます。 周到に殺人は遂行され、すべては伏見のシミュレーションのとおり、ただ一つ、彼女の存在を除いて。 彼女は明晰な頭脳で、状況の不自然さを見抜き、じわりじわりと伏見につめよります。
も〜う、どこまで知られているのか、まだ逃げ切る余地はあるのか、すごいやきもきしました。 むしろ、「この女さえいなければ」的な苛立ちで読み進めたのですが、最後には思ってもみない、それでいてすごく自然で納得のいく大団円なので一気にストレス解消です。 いいじゃんいいじゃーん。
ただ一つ、殺人の動機にはちょっと納得いかなかったなー。 そんな理由じゃ人を殺さないでしょ。
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