2005年11月27日(日) |
森茉莉『恋人たちの森』 |
森茉莉の文章に初挑戦しました。 エロい文章です。
なんというか、とてもエロいです。 服を脱いだりしないのに、視線やしぐさでものすごい恋の駆け引きしてるんです。
恋の上手というわけでしょう。 私は熱にうかされそうです。
収録されていた、4つの短編のうち、表題作をふくめ、三作品は男性同士の恋愛を扱っています。ボーイズラブのはしりですな。 森茉莉さん、明治36年のお生まれというのに、時代を先取りです。 秋の森を歩く二人の美しい男性の姿は萩尾望都や、竹宮恵子の漫画のイメージです。
「僕、たべたくないや」 「喰わないと痩せるぞ」 「・・・・・・ギがもっと早く放してくれれば、太るよ」 ギランの眼が、厳しくなる。 「そんなことを言う権利がレオにあるのか?」 「・・・・・・ゆるしてよ」 「だれが僕をこんなにしたんだ」 「・・・・・・・」 レオは眼を伏せ、フォオクをとってサアジンの一つを気のないようすでつき刺した。そのフォオクの手を卓子においてギランのかおを窺うと、怯えて激しく瞬き、涙が頬を流れ、唇の隅の窪みの上に止まる。 「ギはもう僕を愛してないの?」 レオはフォオクを投げすて、眼の辺りを掴むように両手でかおを蔽い、ひそんだ片方の眉だけを見せ、切なげにすすり泣くのだ。
すごく感覚的で奔放でありながら、圧倒的な個性と魅力を持った文体を持った人だと思いました。
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