2005年11月24日(木) |
今村克彦『夢の見つけ方教えたる』 |
関西京都今村組って知ってますか? 詳しくはこちらを。 http://www.imamuragumi.com/
京都府で現役小学校教師の今村克彦先生が率いるダンスパフォーマンス集団です。 今村先生はロンゲにネックレス、いわゆるヤンキー先生。
お恥ずかしいことに、私は、この手のヤンキーっぽさは、青臭くてちょっとひいてしまっていたのですが、機会あって講演を聞き、著書『夢の見つけ方教えたる』を読んでまったく考えを改めさせられました。 それどころか、本当に大切なことを教えられました。
今村先生は、本当に、とにかく人間に対するやさしいまなざしの持ち主だと思います。 どんなことがあっても、その子どもがよりよくなるためにはどうしたらいいのかを考えている人です。 そして、そのためならば、権力や体制にはむかうことも辞さない、本当に子どものためにすべてをかけている先生です。 今日の教育の問題を論じる目も確かです。
テレビで見る今村先生は、ヤンキーそのものでいかがわしさ満点でしたが、実際はパワフルで面白く、話す言葉には偽りがなく、子どもが好きにならないわけがないのはたやすく信じられました。 今村先生に教わる子どもは、心から信用できる大人と過ごし、成長することができて本当にものすごく幸福だと思います。
「フウコが突然キレたのは九月の初め、小学校最後の運動会の練習のときだった。私はこの運動会でブロック別の応援などで新たな取り組みを行っており、そのリーダーにフウコを指名していた。ところが、そのフウコが、ブロックの応援合戦の練習のとき、仲間を邪魔して、「こんなんアホらしくてやってられんわ!」と大暴れしたのだ。 「フウコ、これはどういうことやねん?おまえ、リーダーちゃうんか」 「リーダーと思ってるのはあんただけやろう。私はリーダーなんて思ったことは一回もない。私はブロックも何も関係ないねん!」 「ちょっと待てや、おまえ、いままで一緒にやってきたやろ・・・・・」 「一緒にやってきたと思ってるのはあんただけや。あんたが勝手にやってるだけや!」 「・・・・・・・」 まったく人が変わったように私のすべての言葉を否定し、すべてを放棄するフウコを見て、私は言葉を失い、為す術をなくした。 それからだ。フウコの反乱が始まったのは。 私が授業中、黒板に向かって字を書いていると、後ろから消しゴムがポーンと飛んでくる。それが頭や背中に当たる。「誰や、ほおったんは!」と怒ると、フウコが「私やで」とニヤリと笑う。 「どういうことや!」 「どういうことって、ほおったら当たってん」 そのやりとりを見ている子どもたちの間で小さな嘲笑が起きる。教師としての権威の失墜を子どもたちは見逃さない。残酷だ。勝ち誇ったようにフウコは立ち上がると、 「ああ、ダル。もう出よ。」 と取り巻き二、三人を引き連れ、教室を出て行ってしまう。そんなことを平気で繰り返すようになった。それからは坂道を転げるように、他のクラスの子とケンカをする、カツアゲをする、ちょっとしたことですぐキレて暴れる。手がつけられなかった。 「このままではクラスが崩壊する・・・・・・」私はその危機感から、フウコの出て行った教室で、子供たちにこう話したことがある。 「正直言って、どうしたらいいかわからへん。みんなに悪いと思うてる。何か先生のやり方が間違ったんやと思う。だからフウコを責めんといてくれ、あいつは悪ないんやから・・・・・・」 そのときの自分にできる精一杯の子どもたちへのメッセージだった。」
この最後の一言のすごさ!
自分の弱さをさらけ出し、子どもの誰も悪者にしないこの一言。 こんなメッセージを伝えられる教師を子どもが好きにならないはずがありません。
私には、言えません。 少なくとも、この一言は私には思いもよらない言葉でした。 この状況に陥ったときに、私は自分の教師としての権威をいかに保ち取り繕うかということしか考えられなくなってしまうでしょう。
本当に大切なことはなんなのか、教えてもらいました。 私も、がんばろう。
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