思ひつつ 寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを 小野小町 あの人に言わせると、私は「夢見がちな人」なんだそうだ。 そのメルヘンチックで、世間知らずな響きに「そんなことないもん!」と、私はとたんにふくれっつらになったものだった。
確かによく夢を見る。 あの人に会うのは、夢の中のほうが圧倒的に多い。 夢の中ぐらい、ラブラブで、アチアチな二人でもいいはずなのに…、 やっぱり私の片想い。
この前の夢でも、あの人のことを一人考えて物思いに沈んでいた。 そしたら、いつのまにか隣に窪塚陽介君が座っていて(!) あの、すべてをわかったような、不思議な微笑みをたたえて私の顔を見ていた。
「あ、窪塚君」 私はとくに驚きもせず、肩に頭をもたせかた。 なんだか、私のあの人への思いをなぐさめてくれたような不思議な安心感があって…。
あれ以来、一方的に窪塚君は恋ばな友達。
でも、「夢見がちな人」という響きにひそむ、あの人の無邪気さというか、きままさに気づくと、私は切ない。
「夢見がち」にさせているのはあなたなんだよ?
あの人はいつもはっきりしていて、私にも「つきあえない」ってちゃんと言う。 友達のラインをこえるようなことは絶対しない。 だけど私は、あなたのふとしたやさしさや、ぬくもりに期待しちゃうんだよ。 期待しながら絶望してる。
「彼女じゃなくてもあの人のそばで笑っていられるならば…」 「このままじゃ、いつまでたっても私の一人相撲。 あいまいな関係を終わらせたい」
二つの気持ちの間で、ずっとずっとゆれていたけど、私は決めたんだ。 好きだからこそ、決心した。 私にとって、あの人は「友達」じゃない。 「友達」って言って、自分の気持ちにうそついてごまかしていちゃいけない。 もう、友達ではいられない。
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