2002年03月07日(木) |
平野啓一郎にわくわく |
まだ読み始めたばかりなんだけど、かなりのわくわく度。 平野啓一郎の「日蝕」 何年か前、現役京大生で芥川賞をとった、大物新人、茶ぱつでピアス、と騒がれた、あの人、あの作品です。
あのころ、私は大学生で、「こりゃー一度読よんどかにゃなんめえ」と、思ったまではいいのですが、買うほどの興味もなく、先日の図書室での出会いまで、半分忘れてました。
そんなわけで、あまりきたいもせず、 「とりあえず読んでみるか」 とページを開いたのですが、これが面白い! だけど、 「この本読んで「面白い」って言う人、限りなく少ないんだろうなー・・・」とも思う。
だって、舞台がヨーロッパ、中世、主人公はドミニコ会の修道士。 それでも、遠藤周作みたいに、普遍的な人間の問題を扱ってくれればいいけど、神学まっしぐら。 これはストライクゾーン狭いです。
でも、私にはどんぴしゃり。 世界史大好き、キリスト教の教義に興味津々。
しかーし、この作品を私が面白い、と言うのは、素材が私の興味にはまったからだけじゃない。
「見てきたことを見たように書くのは小説家ではない。 小説家は見たことのないことをまるで見たかのように書く」
という言葉を聞いたことがあるけれど、この言葉に従うならば、平野氏は本物の小説家だ。
表現は古めかしく、荘重だからけっしてとっつきやすいとは言えないんだけど、気がつくとワールドにはまってる自分がいる。 一つ一つの表現、登場人物の思いに引き込まれてしまってる。
いつも、昼食を食べた後の、数十分の息抜きにこの本をてにとるんだけど、一人中世フランスにトリップしてる。
そして、思うのは、「一体この平野氏とは何者?」ということ。 略歴を見ても、キリスト教とのかかわりは見えてこないし、もし、キリスト教者であっても、こんなにリアリティを持って神学のことを話せる人ってそういないと思う。
平野啓一郎、こんな小説家が同年代にいるって、すごく誇らしい気分だ!
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