感想メモ

2017年03月22日(水) 下剋上受験


 中卒の父・信一(阿部サダヲ)と中卒の母・香夏子(深田恭子)の一人娘・佳織(山田美紅羽)。信一は職場の不動産会社でも学歴の壁にぶち当たることがあり、自分の娘にはこんな思いはさせたくない、自分の娘には自分が味わえなかった広い世界を見せてやりたいという気持ちから、中学受験をさせることを思いつく。

 香夏子はあまり乗り気ではなかったが、信一の本気さと、佳織のやる気を見て、応援することにする。しかし、佳織の成績はお世辞にもよいとは言えず、塾に通うのは娘には無理だと思った信一は、自分で佳織に勉強を教えることを思いつくのだった。

 久しぶりに見たお受験もの。原作がきちんとあって、実話をもとにしている。

 私が最初に無謀だなーと思ったのは、この家が決して裕福ではないのに中学受験をして、その後、私立中学に通う金銭は大丈夫なのか?というところ。途中で信一が勉強に専念するために仕事を辞めてしまったり、電気が止められたり、家賃の滞納から家の鍵を勝手に変えられてしまって家に入ることができなくなってしまったり…。

 こういう金銭状態で中学受験って考えるんだ、すごいなーという感じ…。

 この家族の明るくて楽しいノリはキライじゃなくて、応援したくなるんだけど、でもでも、かなり私的には引っかかる部分が多かったかな。

 例えば、中学受験で人生が決まるかのようなセリフとか。自分たちは中卒で、それでも生活しているわけなんだし、中学受験の後には高校受験も大学受験もある。決して中学受験の段階で人生が決まるわけではないと思う。

 それどころか、中学受験で失敗してしまって、その後の人生が狂う場合もあるので、何でも中学受験して受かれば勝ち組みたいな感じの発想には引っかかった。

 志望校を決める時も一番難しくて有名なところというだけで決めてしまったけれど、子供の性格や校風などが合うかどうか、自宅から通いやすいかなどなど、もっと決める観点は別にあるのでは?と思ったし、1校しか受験しないのも、子供の気持ちを考えたら、どうなのかな…って思ったし。

 そしてね、一番同意できないのは、中学受験のためには学校を休んで構わないというような発想かな。たとえば、佳織は勉強を夜遅くまでしているので、授業中には寝てしまうこともあるけれど、それはどうなのかな?って思うし、3学期になると、学校を休んで勉強させて、一生がかかってるんですって親が言いきってしまう。

 学校も大事だと思うんだよね。そこまでやって、受からなかった時に子供が受けるダメージってすごいよなーとも思ったりね。

 せめて試験数日前から、風邪とかインフルエンザにならないように休むというくらいに留めてほしいよね。

 ま、実際、受験のために3学期は学校に来ないという子供も結構いるらしいけど…。

 とはいえ、勉強の成果が無駄にならなかったこと、最後に佳織本人が受験のことを振り返ったメッセージを送っている内容は悪くなかったこと、後味は悪くなかったこと…などから、楽しめるドラマではあったんだけどね。

 他におじいちゃん役の小林薫とか、信一の幼なじみで社長の徳川(要潤)と娘の麻里亜(篠川桃音)、信一の後輩の楢崎(風間俊介)もいい味出していて、よかった。


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