2017年01月01日(日) |
ツバキ文具店 小川糸 |
小川糸 幻冬舎 2016
STORY: 鎌倉の小さな文具店で代書屋を営む鳩子。先代との不和を後悔しつつ、鎌倉での日々の暮らしを大切にする毎日だが…。
感想: 代書屋という職業は、ただ字がきれいで文字を代筆するというだけではなかった。
頼まれた相手になりきって、字までもが別人格になるというか…。
代書屋として書いた文章は、活字とは別に掲載されているのだが、同じ人物が書く字とは思えないほど、依頼者本人になりきっている。
シャーマン的な存在なのだろうか?とも思う。
依頼者のために良い文章を書き、依頼者のためになるように最善を尽くす鳩子。特に文具を選ぶこだわりはすごくて、筆記具から便箋に至るまで、さまざまな種類があって、そういうことが好きな人にはさらに楽しめるのかも。
しかし、一方で鳩子は、自分を育ててくれた祖母を先代と呼び、亡くなるまでの自分の不義理を後悔しつつ生きている。
それでいながら、先代の跡を継いで代書屋を続けている自分。
そんな自分と対峙しながらも、一日一日を過ごしていく鳩子の生き方は応援したくなった。
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