感想メモ

2006年12月20日(水) 赤い指  東野圭吾


東野圭吾 講談社 2006

STORY:
家のことは妻に任せっきりにしてきた昭夫。ある日中学生の息子が少女を殺してしまい、妻にせがまれそれを隠蔽しようと試みるが・・・。

感想:
 一応推理小説みたいな感じでもあるのだが、推理というジャンルとしては全く甘く、どちらかというと、家族を省みなかった男の心の変化のようなものを描いた心理的作品といった方がいいのかもしれない。

 一応捜査をする側のドラマと殺人を隠蔽しようとする家族のドラマの2本が進行していくが、比重が高いのはもちろん殺人を隠蔽しようとする家族のこと。

 ある日突然、中学生で引きこもり気味な息子が少女を殺してしまう。男は自首することをまずは考えるのだが、妻がどうしてもそれだけは嫌だと言い張り、男は死体の処理を考える。

 警察の捜査はそんなに甘くはないだろうし、そのうちに追及の手が伸びてくる。それを考えたときに男は同居している認知症の母に罪を擦り付けることを思いつくが・・・。

 推理小説なら、犯人や関係者は殺人をできるだけ隠そうとするだろう。しかし、主人公はすぐに警察を呼んでしまう。なんだか甘いのである。もっと悪あがきして、最後の最後で警察に「実は・・・」と言うならわかるのだが・・・。

 そういう意味で、何というかちょっと現実味があるようでないような感じで、面白いとは思うけれど、こうしたテーマを扱うにしてはあまりにも軽々しい感じがする。このテーマを扱うならもう少し骨太な小説に仕上げてほしかったかな・・・と思う。(でも、実際殺人を子供が犯して捜査の手が伸びてきたら、早く警察に自白して楽になりたい・・・と思うのが一般市民なのかもしれないから、こういうのもありなのかな)

 決してつまらなくはない。軽く読める。すぐに読める。でも、このテーマはそんなに軽く読めてしまっていいものではないような気がする。その点がちょっとだけひっかかった。


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