感想メモ

2006年10月01日(日) 純情きらり

 NHKの朝ドラ。今回のは久しぶりに視聴率がよかったらしい。私も楽しみに毎日見ていた。

 でも、最後の週はどうも・・・。結核に侵されて寝たきりの桜子(宮崎あおい)ばかりで、すっごく辛気臭い感じが漂っていた・・・。

 そして、主人公が死ぬというラストは、今まで私が朝ドラを見てきた中で初めてのパターンだったような・・・。せっかく見てきたのに爽やかさが消えたような気がした。ちょっとがっかりだった。

 終わってみて振り返ってみると、桜子の人生ってひどいことの連続だった。そんな中、明るさを失わない生き方が胸を打つということなのだろうか?

 幼い頃に母を亡くし、唯一の理解者の父(三浦友和)も土砂崩れで呆気なく死亡。音楽への道を志す中、出会った婚約者(劇団ひとり)の突然の婚約破棄、音楽学校への受験の失敗、せっかく入試に合格したのに家の事情から入学を断念せざるを得ない。後に結婚する味噌屋の跡取り息子・達彦(福士誠治)との恋愛には、母・かね(戸田恵子)の妨害が付きまとう。(この達彦もまた父(村田雄浩)の突然の死により、音楽への道を断念するという苦難がある)

 やっと結ばれるかと思ったら、達彦は徴兵され、結婚することもないまま桜子は待たされ、味噌屋の手伝いをする。達彦からの連絡はなくなり、かねも病気で死亡。味噌屋も戦争の影響を受け、原料の大豆が手に入らなかったりで、ぎりぎりの生活を続ける。

 戦争が終わり、死んだと思っていた達彦が戻ってくるが、達彦はショックから桜子とのことはなかったことにしようと思ったり・・・。そしてようやく結婚。作曲したものを発表する演奏会にこぎつけようとしたら、妊娠。結核に侵されていることがわかり、演奏会を断念。そのまま寝たきりになり、帰らぬ人に・・・。

 うーん、やっぱりひどい感じ。結局やりたいことを貫く人生だったのかもしれないとはいえ、時代に翻弄されて、邪魔されることばかり。桜子は目の前にある今やれることを精一杯やるだけ・・・という生き方を迫られることになる。

 周りの家族の描き方も丁寧でよかったのだが、達彦が戻ってこない間、義兄(西島秀俊)とのプラトニック・ラブも描かれていて、ここに来て何か方向性が違ったかな・・・なんて思ったりもした。(このエピソードは必要だったのだろうか? まあ、達彦を失ったと思い込んだ桜子に生きる希望を与えたということなのかもしれないが)

 姉・杏子(井川遥)も苦労したけれど、最後には再婚し、看護師としても有能な存在になってよかった。子供が生まれないのがちょっと不思議だった。

 もう一人の姉・笛子(寺島しのぶ)は、いつもいつもうるさい存在だった。しっかり者かと思うと、ヒステリックだったり、ひがみ屋だったりして・・・。

 弟の勇太郎(松澤傑)は結構いい味を出していて好きだったのだが、あまり登場場面がなくて残念だった。

 何となく桜子がジャズ演奏家になる・・・なんていうラストを想像していたから、こんな終わり方になってちょっとびっくりなのだけれど、これが当時の等身大の女性の生き方だったのだろうか?

 結核にしても、あと数年遅くかかっていたら、よい薬が発見されていて治っていた可能性も高いはずで、つくづく運が悪かったのかなーと思ってしまう。

 この物語の中に一貫していたのは、女性は好きな人と結婚し、その子供を産むことが幸せである・・・という、昔ながらの思想である。おばの磯(室井滋)も愛人との間の子供を取り上げられるが、それでも産んでよかったと言うし、「女は子供ができたら絶対に産みたいものだ」と最後には達彦を説得する。

 桜子はジャズの世界へ入ることも可能だったのに、結局達彦と結婚し、味噌屋を手伝うという選択をし、最後には自分が死んでも子供を産むということを選ぶ。ここにこの物語の根底にあるものがよく現れているような気がした。

 このドラマの視聴率がよかったのは、多分年配の人が多く見ていたからだと思う。自分たちの生き方に重ね合わせて見たのもあったのかもしれないけれど、もしこの思想に共感していたのだとしたら、やっぱり時代なのかもなぁと思った。

 今どきの人たちには、女は結婚して好きな人の子供を産むのが一番幸せ・・・という昔ながらの思想が欠けていると思う。人生には色々な選択肢があるというような思想が根底にあるから、桜子の人生に対して、これでよかったのだ・・・と思えるかどうか・・・。少なくとも私は、何だか最後の終わり方がちょっと釈然としなかったし、もう少し別の終わり方(たとえ主人公が死ぬにしても・・・)をしてほしかったな・・・と思ったのだけれど・・・。


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