スティーブン・スピルバーグ監督の映画『ミュンヘン』を見に行った。
1972年ミュンヘンオリンピックでテロリストに殺されたイスラエル人アスリートたちの敵を討つために、首謀者たちの暗殺に携わることになった主人公アブナーを巡る物語。
実話に基づいた話であり、人を殺すシーンが多くて、かなり重い。けれど、テンポはいいのか、2時間半以上の映画なのにあまり長くは感じなかった。
見終わって、何だか物足りないような気分になった。主人公は仲間の死などを通して、自分が殺したのが正しかったのかどうかで苦悶するようになる。そして最後には足を洗うことを決意するわけだが・・・。
結局言いたいことは明確で、復讐はさらなる復讐を呼ぶから無意味である・・・ということに尽きるような気もする。これはこれで深遠なはずなのに、どうして何だか物足りない気分になるのだろうか。
どちらかというと同じような類の映画なら『シンドラーのリスト』 の方が断然胸に迫るものがあったような気がした。似たようなテーマのはずなのに何が違うのかを考えてちょっとわかったことがある。
『ミュンヘン』は主人公が人を殺す・・・。それが『シンドラーのリスト』 とは全く異なる。シンドラーはユダヤ人を助ける立場に立った。だから、ものすごく感動する。でも、アブナーはテロリストたちを殺す立場にある。どんなに正しいとしても人を殺すということをする主人公に対して、感動を覚えないのかもしれない。それが何となく中途半端なイメージになってしまうのではないだろうか・・・と思った。
映画は決して悪くはないと思うが、やはり暗殺をするというのはいいことではない。暗殺やその報復を映像にしているから、ただそれだけで終わってしまっているのかもしれない。もっと主人公の苦悩のシーンを増やす方がよかったのだろうか・・・。でも、増やしてもやっぱり同じかもしれない。
アブナーにも守るべき家族がいて、テロリストたちも同様だった。人が人を殺していいという理由はやはりないのだ。
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