感想メモ

2005年09月06日(火) 積み木くずし 真相

 2夜連続で放送された「積み木くずし 真相」を見る。

 「積み木くずし」の原作(『積木くずし―親と子の二百日戦争』)は読んだことがないのだけれど、当時テレビドラマは見ていた。あの頃はもしかしたらまだ小学生だったか、それとも中学生だったか・・・。あまり覚えていないけれど見ていてすごいインパクトだったような・・・。

 彼女のその後が気になっていたのもあるし、また安達祐実が結構好きなのと杉田かおるがどういう演技をするのかも興味があったというのもあって、思わず見てしまった。2夜連続とは知らず、1夜目を見て、続きがあるのに気づいた。そして、2夜目もはまった・・・。

 どの人も演技がうまい! 杉田かおるもひどい母親を演じ切っていた。舘ひろしの演技もかなりはまっていた。安達祐実ももちろん・・・。そういう意味でも安心して見られるドラマだったかも。

 強引だと思ったのは、出版社の編集者。彼が父親に「娘のその後のことを書け、それが娘に対して懺悔になる」というようなことを執拗に言い続け、本を出すことにした・・・という設定なのだが。父親がちょっとかわいそうに思ってしまう。もしこの部分が本当だとしたら、なぜこの編集者はそこまでしてその後のことを本に出そうと思ったのか?

 それは、このドラマの制作についても一緒なのであるが。人それぞれだとは思うが、「父親はやっぱりわかってなかった、結局金儲けのために娘と母親のその後のことを本にしたのだ」という意見もあることだろう。私も言われて見るとそうなのかなとも思ったりもした。

 ただ考えてみるに、父親も現在72歳。俳優を続けているのかはよくわからないのだけれど、続けているとしてもあとどれだけ続けられるかもわからない老齢に入ってきているはず。老後のことを考えても印税が入って余裕が出るならそれでもいいような気もした。

 でも、それより何より、ドラマを見て、そして、時間が経って思うのは、やっぱり父親は自分のことよりも娘のことを考えて本を出し、ドラマ化したんではないかということだ。というのは、このドラマは本当に娘を美化して美化しまくっている。確かに不良少女になり、悪いこともやって、薬もやって捕まったり色々なことがあった。でも、その原因は自分たち親にあって、(もちろん非行に走ったきっかけはいじめとレイプであったわけだが)親の接し方が悪かったということをひたすら描いているのである。そして、最後に娘が死ぬところでは、娘が町中の人から愛されていたことや、親の知らない人間関係があったことなどが明かされるのである。

 死者に鞭打つようなことはしないということなのかもしれないけれど、でも、この部分で私は泣いた。きっとドラマを見ていた人の多くがこのシーンで涙したことであろう。やっぱりこのドラマは娘を美化した作品だ。

 親のエゴ、マスコミの執拗さが娘をあらぬ方向に導いてしまったのだということを言いたかったのだろう。

 もう一度元の話に戻ると、杉田かおるをだまし続けた一家の経理を担当していた女が恐ろしかった。それから武田鉄也の警視庁の人。この人の言うことはどうなんだろう?とも思ったけれど、どうやら当時からこの人の言葉は非行に走る子供を持つ親にとってはバイブル的だったみたいなことを聞いたので、間違いではないのかな。何となく逆効果?と思う部分もなきにしもあらず・・・と思ったのだけれど。

 とにかく久しぶりにガツンと重い考えさせられるドラマであった。

★ドラマの原作は『由香里の死そして愛―積木くずし終章』
★当時のドラマは『積木くずし』


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