2004年12月16日(木) |
オニババ化する女たち 三砂ちづる |
女性の身体性を取り戻す 三砂ちづる 光文社新書 2004
ちまたで非常に話題になっている(?)本。私も新聞の広告で知ってはいたのだが、その煽るようなうたい文句が一人歩きしているような気がする。
どんな内容なのかと思って実際に読んでみれば、あのセンセーショナルな言葉通りの内容ではないと思う。それどころか実に真面目に女性の問題について述べた本なのである。中身はすごくうなずけるところが多い。その意味でも多くの女性に読んでもらいたい本であることは確かで、あの煽り文句も悪くはないのではないか、一つの戦略なのではないかとすら思った。
内容は大きく二つに分かれていて、まず最初に女性が持つ身体の知恵や月経血コントロール、妊娠出産の誤解などについて。こちらは煽り文句に期待して読んだ人にはあれれ?というような内容である。
でも、実は私はこれを読んでよかったかと思った。というのは、私自身も出産に対してネガティブなイメージが先行している一人だから。これを読むと生んでみようかという気持ちになるし、また助産婦さんを探して生みたいかも…とも思った。
もう一つが、煽り文句にあったような内容で、早婚・早期出産と育児をして40代くらいから仕事をバリバリこなすのがいいのではないかというような内容。これも実際そう思う。早く生んで早く子育てから自由になり、あとは好きにやるっていうのはかなりいいと思う。自分はすでにそれができない状態で、これから生んでこれから育てて…。確かにそれまでは自由に好き勝手やってたと言われたらそうなのだが、この年齢からだと子供が成人する頃には何歳…と考えざるを得ない。また、実際問題高齢出産の年齢はあがっているし、35歳以上で初産の人も多いみたいだけれど、どんどんリスクも大きくなっていくのも事実だし、ほしいと思ったときにできない確率もあがっていくし、障害をもって生まれる確率なども高くなる。さらに、出産後は、はしゃぎまわる子供に接していくだけの気力と体力がないかもしれない…。
もう一つうなずけたのは、例の「負け犬」についてである。「負け犬は強者だ」というのはまさにその通りで、あの本を読んだときに一番に不快になったところがそれだった。結局あれは自分でバリバリ働けて、恋愛経験も豊富で、でも結婚できなかったりしない選択をしている人のことを書いていた。私は自分はそうではなかったし、結婚したいと思ってもなかなかできない人の方が多いのではないかと思う。昔のようにおせっかいな人も減ったし、結婚情報サービスみたいなのは世間体が悪くて頼る気になれないし、かといって周りにはいい人が全くいなくて…というような弱者の方が多い。
もちろん結婚せず一人で生きていくのもよいことだと思うけれど、やはり二人で、もしくは二人プラス子供たちと生きていくのはまた別の意味で世界が広がると思う。
そういえば最初このタイトルを見たときには、まさかこの間ふと図書館で手に取った本を書いた人と同じ人が書いたものだとは思わなかった。こちらは月経血コントロールなどについて書かれていた。その後、やってみようと思っていたはずがすっかり忘れていた。また試してみよう…。
★他に読んだ三砂ちづるさんの本 昔の女性はできていた
★その感想ページ
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