2004年10月28日(木) |
たったひとつのたからもの |
日テレ・秋のドラマスペシャル、文化庁芸術祭参加作品
本当にあった話を元にドラマ化した作品。ダウン症で心臓と肺に重度の障害を持った秋雪を授かった夫婦が、6年余りの時間を秋雪とともに過ごしていく姿を描く。
あの松田聖子が10年ぶりにドラマ出演ということと、実際にあった話、ダウン症で感動物ということで、特集記事なども多かったこともあったのか、視聴率が30%を超えたらしい。うちも夫婦二人で見ることにした。夫は以前から松田聖子のファンだったからちょうどよいということで。
確かに感動シーンもあったものの、私はそこまで激しく泣けるシーンはなかった。しかし、夫は一人で3,4回ほど涙していた・・・。びっくりして「泣いてるの?」と聞いてしまったほど。なんかとてもおかしくなった。
それはさておき、こうした感想を書く前に普通は他の人の感想を読まないのだが、たまたまいつも愛読している方の日記にこのドラマについて書かれていた。その方に寄れば、やはりこのドラマはかなりきれいすぎるらしい。一番大切な排泄のしつけのシーンや泣き叫んで困るようなシーンもなく・・・ということらしい。確かに多分一番大変なのはそこだと思う。ただこの作品がきれいごとばかりという印象を私は持たなかった。
私がちょっとぐっと来たシーンは、重病の女の子がお母さんに「自分を食べて健康な子供を生んで」と言ってお母さんが「ごめんね」と泣いて謝ったという話を松田聖子にするシーン。親というのは子供が五体満足で生まれてきてほしいと一番に願い、それがかなわなかったときに絶対に自分自身を責めるのだと思う。それが痛いほどにわかって苦しいだろうなという気持ちになった。
聖子が自殺をしようとするシーンについては、私はなぜそういう発想に突然至ったのかがよくわからなかった。「お母さん、もう疲れた」みたいなことを言っていたが、疲れたようなシーンがなかったからだ。このシーンの前には医者に「秋雪が余命1年と言われながらこれだけ生きているのは奇跡に近いし、10年は生きないだろう」と言われるというシーンがあり、それに対してすごくショックを受けたということも一因となったようだ。でも、この件に関して私が一番まずいのではと思ったのは、周りの無責任な言葉である。聖子をダウン症の子供たちの集まりに巻き込んだ女性の言葉だ。自分の子供は重度の障害がなかったからだと思うが、長生きして仕事をするまでに至っている。そこへ連れて行って、「今は医学が進歩しているからダウン症の子も長生きするし、聖子の子供も大丈夫」と安請け合いをする。人それぞれ状態は違うのであるから、そこでそのような希望を持たせることを言うのは、かえって残酷なことではないのか? その言葉があったから聖子は医者に「もっと生きるのではないか?」という希望の言葉を述べ、それをあっさり否定されてしまったのだ。あまり内情を詳しくわからないのに、変に希望的観測で物事を言ってはならないのかなと思った。もちろんそれが善意からでも。
ダウン症の子供が生まれる確率は、出産年齢が上がれば上がるほど高くなる。またこのまま行くと西暦3000年には日本の人口は27人くらいになるらしい。その二つの話をたまたま聞いて思ったのは、やはり子供は早く生んだ方がいいのだろうなということだ。私は自分自身がすでに30を過ぎているのでやはり早く生んだ方がいいのだろうかとちょっと思ってしまったのだった。(できるかどうかもよくわからないけど) 今は医学が進歩しているから30代後半や40代で初産でも大丈夫という話もあるが、やはりどんなに医学が発達したとしても超えられない壁はある。不妊症の治療も難しいし、ダウン症の治療法はないのだから・・・。
★原作本は『たったひとつのたからもの』
|