感想メモ

2003年10月15日(水) ファイアボール・ブルース  桐野夏生

文春文庫 1998

STORY:
女子プロレス界でも有名な火渡とその付き人でまだ一勝もあげることのできない近田。二人は外人レスラーの失踪事件に巻き込まれ・・・。

感想:
 正直、プロレスは好きじゃない。けれど、この作品を読んだら、ちょっとプロレスも楽しそうというか、そういう世界にはそういう世界なりの色々なことがあるんだなーと、興味を持てるような気がした。でも、だからといってプロレス好きには絶対にならないとは思うが・・・。

 自分のことを「私」とは呼ばず「自分」と言う近田。一勝もできないという屈辱と勝たなくてはという焦り・・・。その描写がすごく面白い。それでいながら、自分が付いている先輩レスラー火渡はものすごい強さで、全く負けることがない。あまりの違いが面白い。一勝もできない近田は何とか勝ちたいと思い、勝てない理由を探そうとしたり、葛藤がある。

 実は失踪事件の真相を知るよりも、そのプロレス界の実情みたいなの方が面白くて引き込まれた。多分、火渡というキャラクターがすごくしっかりできているし、その対抗馬でもある、アロウさんとか与謝野とか・・・色々そんなに出てこない人たちのキャラクターもしっかりしているからだろう。

 ということで、最後の方は結構一気に読んでしまった。プロレス嫌いでも多分大丈夫だと思う。


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