新潮文庫 2001
STORY: 双子の弟と死に別れ、働くことに忙しい両親のもとで日々を送っていた照美は、友達のおじいさんの話を聞くのが楽しみだった。洋館の裏庭の秘密を聞かされた照美は、その不思議な世界に入っていき・・・。
感想: 先日読んだ梨木香歩の『西の魔女が死んだ』がよかったので、かなり評判がよいらしいこの『裏庭』を読むことにした。どういう話なのかよく知らずに借りたのだが、本当に偶然にも宮部みゆきの『ブレイブ・ストーリー』と同じく、不思議な世界へ行き冒険をするというような話であった。しかし、同じようなジャンルではあるが、その雰囲気は全く別物である。
私はどちらかというと、この不思議な世界での冒険の話よりも、現実世界での話のほうが非常に面白く興味を持って読むことができた。よく考えると、それは『ブレイブ・ストーリー』もいっしょだったということに気づく。世界観は作者が違うから異なるけれど、似たようなストーリー展開だから、同じような感想を持ったのかもしれない。
この手の不思議な世界に行ってという話は今までにもたくさんあったけれど、作者がよっぽどの世界を作り上げない限り、何度か似たようなストーリーを読んでいる場合、あまり感動が深まらないのかもしれないと感じた。もしこういう作品を今までに読んだことがない人が読めば、また別なのだろうが。
この作品は児童文学のファンタジー賞のようなものを受賞した作品のようだ。日本のファンタジーは、どうも私の性に合うと思ったものがあまりないような気がする。この本も悪くはないけれど、そこまでよくもないような気のする一冊だった。
けれど、作者の文体、物語の雰囲気などは『ブレイブ・ストーリー』よりも好きであると感じた。2作を比べて読んでみるのも面白いかもしれない。
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