2003年05月10日(土) |
私がアナウンサー 菊間千乃 |
文藝春秋 2001
フジテレビアナウンサーで生中継中にビルの5Fから転落した菊間千乃さんの手記。
ビルの5Fから生中継中に落ちた菊間さん。私は番組自体を見ていたわけではないけれど、その日のニュースの映像で何度も流れたので転落シーンは見ていた。きっと下半身付随とかになるだろうと、みんな思っていたと思うけど、今では復帰して「あるある大事典」などでも見かける。その事故のことや闘病についてを語った本なのである。が、事故のこと、闘病のことだけではなくて、菊間さんのバックグラウンドについてとかもかなり書いてある。
事故と闘病については、実際のところ読んでいてこっちまで具合が悪くなってくるような感じがしてしまった。でも、本当に健康のありがたさというのを感じることはできるとは思う。
闘病以外のことも、なるほどと思って読んだが、もしかしたら、この作者がきれいごとを言っているようにも取れるような気もして・・・。多分とてもいい子すぎる文章だからじゃないかと思う。恨んだりとか荒れたりとかもほとんどないし・・・。いや、そういうものを期待しているわけじゃないけど、あまりにも読む人の反応を考えて、いいことしか書いていないような気もしてしまったのよ。それから、手記だから仕方ないのかもしれないけど、あったことが順番に書かれていない部分があって、ちょっと困惑したところもあった。転落ビデオを見たのは2年後ならしいのだが、その部分が数ヵ月後の日記のところで出てきて・・・。あと日記の月日が何年なのかが抜けているので、もう2年もいきなりたったのか?と誤解を与えたような気もする。
でも、本当にこのままの人なのだとしたら、闘病をする上で本当にすごい人だなあと思う。やっぱ人に感謝して、こういう風にポジティブに生きていくことは重要だよね。
それから、転落アナウンサーと呼ばれることについての苦悩が書いてあったけれど、きっとこれからも転落アナウンサーというのはついて回るだろう。普段その番組を見ていなかった私ですら知っているアナウンサーなのだから、注目される存在であることは間違いない。だから、これからもそのことを背負いながら、受け入れ、宣伝材料の一つくらいの気持ちでがんばってほしいと思った。
ところで、この事故の引き金となった会社の社長さんのその後について触れられていなかったんだけど、どうなったのだろう? 裁判にするみたいなことが文章中に出てきたけど、その後のことが書かれていないのは気になる。それから、この本の最初に出てきた彼とはどうなったんだろう? 結婚してましたっけ? 最近文庫化されたみたいだけど、そっちにはその後のこととかに触れられているのでしょうか?
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