感想メモ

2003年05月02日(金) シカゴ(ネタバレあり)

 アカデミー賞を数個受賞したミュージカル映画「シカゴ」を見に行った。

 正直、こういう話だとは思っていなくて、最初の方でいきなりロキシーが不倫相手を銃で3発も撃ったのにはびっくりした。それも相当大胆な殺し方で・・・。

 私はミュージカル映画ってほとんど見たことがないのだけれど、この映画がちょっと違うと思ったのは、普通のシーンとミュージカルのシーンとの融合の仕方。普通のシーンと絡めてミュージカルシーンが交錯してくる。だから、最初ロキシーが頭の中で妄想を感じているシーンがミュージカルになっているという設定か?と思ったが、別にそういうわけじゃなかったんだろう。

 刑務所に入ったロキシー。そこには殺人の罪で収容されている囚人が6人いた。どの女も男を殺して入所している。舞台は1920年代のシカゴ。ここではいまだに女性の囚人が死刑執行をされたことはない。この6人は男は殺されても当然のことをしたから自業自得よ・・・と言って歌って踊るわけだが・・・。この中の一人がシカゴ始まって以来、初めての絞首台に送られる女囚一号となる。そして、このお方、エカテリーナ何とかという名前だとクレジットの英語でわかったのだが、絶対にバレエをやっていたと思う。ハンガリー出身という設定なのか、中で歌を歌うんだけれど、それが英語じゃなくて、字幕も出なかったので、一体何をして刑務所に入っていたのかはわからないのだけれど・・・。何となく言葉がわからなくて、弁護士もうまく雇えなくてそれで絞首台送りになってしまったような気がする。それにしても、本当にラインがきれいで、他の人と全く違うというのがわかる。やっぱり自分がバレエをやっているので、バレエが一番美しいと思ってしまうのだが・・・。(もちろん他の踊りも嫌いではないのだけれど・・・)

 この刑務所を束ねているのがママと呼ばれる人物。お金をもらえれば囚人に親身になってくれるわけ。最初にママによく尽くせばママもよくしてあげる・・・っていう歌で登場するんだけど、もうこのインパクトの強いこと! 一気に気に入ってしまった。私ってこういう貫禄のある人、好きなのよねえ。

 そして、この人に頼めば絶対に有罪にならないといわれる敏腕弁護士ビリー・フリン! この人もお金で動く人なわけなんだけど、めっちゃくちゃ面白い。リチャード・ギアのイメージは私の中ではもっと違ったものだったので、あまりの変わりっぷりとそのあまりのおかしさに、別の意味で笑いがこみ上げてきてしまった。あれってコミカルなつもりはあまりなかったのかなー? いや、そんなことはないよね。とにかく登場シーンの踊りはにやけた顔がおかしくておかしくて・・・。笑うシーンじゃないのかもしれないけど、吹き出しそうになった。でも、最後の法廷のシーンではタップダンスで締めてくれていたけれど。リチャード・ギアも昔は舞台に立っていたことがあるそうで。

 でも、彼の踊りで最も面白かったのは、ロキシーとの記者会見の踊り。操り人形に見立てた踊りなのだけれど、ものすごくおかしくておかしくて! このシーンはかなりいけてたと思うんだけど、どうでしょう? この踊りの振り付けとかを考えた人は本当にすごいなーなんて思ってしまいました。それと、女性記者というかアナウンサーの方。個人的に面白くて気に入ったな。

 ロキシーは結局有名になりたいわけ。注目を集めるためならどんなことでもする。当時の陪審員は男だけだし、自分と違う人物を演じれば、顔はかわいいし男はだまされるというわけ。多分自分の体もフルに活用しているとは思うのだけれど。髪形もかつてのマリリン・モンローみたいな感じにしてしまって、目をパチパチしてみせる。こんなことで男は簡単にだまされるわけなの?と突っ込みたくなるんだけど、だまされるらしいよ。妊娠した振りをして倒れこみ、病院に担がれる。そして、病院の先生も嘘を真実と言ってしまうわけで・・・。一体この人たちの間に何があったかは・・・。

 にしても、かわいそうなのはロキシーのだんなさんよねえ。名前は間違えられるし。妻は他の男と不倫。でも、妻のために弁護士に高いお金を払う。彼は貧しくお金がないのに。離婚しようかとも思うけれど、子供の話を聞いて自分の子供だと思い込んだり・・・。本当にこの中で一番かわいそうなのは彼ではなかろうか・・・。

 そして、ヴェルマ。彼女はロキシーが来るまでフリンの弁護を受けるはずだったけれど、ロキシーが来たことによって公判日がずれてしまうし、誰からも注目されなくなってしまう。ロキシーは最初に彼女に冷たくされたことから、その後、同じような態度で彼女に接するが・・・。弱肉強食じゃないけれど、強い方が弱い方にひどい態度を取るとよくないことが起こるのねなんて思った。いつ立場が入れ替わるかわからないのだから、適当に接しておくのがよかったのかも。でも、最後には二人は利害関係の一致から殺人犯2人のショウダンサーとして、大人気になるわけだけれど。この最後のショウシーンで二人がライフルに見立てたものを担いで踊るのはものすごく受けたわ。

 ロキシー役はレニー・ゼルウィガー。彼女は「ブリジット・ジョーンズの日記」では体重を増やしたらしいのだけれど、この「シカゴ」では見事なプロポーションを見せている。ミュージカルは初めてだというけれど、結構はまっていたように思った。甘い声で、男をだませる役だなーという感じ。対するヴェルマ役のキャサリン・ゼタ・ジョーンズはかつてはミュージカルをやっていたことがあると言う。やめてしまって、カンを取り戻すのが大変だったらしいが、そのため冒頭のシーンでは開脚などその肢体を十分に生かした踊りと歌を披露していた。人によってはキャサリンがレニーを圧倒していたというような声もあるが、どうなのかな。役柄が違うからこれはこれでいいかなって思ったけれど。それとキャサリンの踊りのシーンなどが少ないので・・・。まあ、レニーの方も実際踊ったり歌ったりのシーンはそんなにあるわけじゃない。

 結局歌って踊れる人がわりかし重要な部分を占めていたのと、周りで踊っている人がもり立てていたのもあって、絢爛豪華な感じに仕上がっていたと思う。また時間的にも長すぎも短すぎもせず、ストーリーも山あり谷ありというような感じで、こう来るか?とひきつけられたりして、飽きずに楽しめたと思う。

 この作品を見ると歌が頭の中を回るし、踊りも踊りたくなってくる。(踊れないけど・・・) それと、英語もそんなに難しくはないものもあって、歌の部分なんかは結構何を言っているのかわかったりなんかして。踊りに気を取られてついつい字幕を読むのを忘れてしまったりという場面もあったのだけれど、それでも意味は通じるから大丈夫・・・。とりあえず満足した映画でした。


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