楓蔦黄屋
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2014年11月23日(日) ロリータちゃんに、俺はなる!〜実行編2/2〜

つづき。




さて、コインロッカーに着替えの荷物を押し込んで身軽になったら
次に向かうはお昼ご飯のお店。
これは執事喫茶に行く前に食べます(なぜなら執事喫茶は高いから)(高いだけあってそれなりに旨いらしいが)。

こちらは新宿にある、これまたロリータちゃんがよく出没するという噂のとあるお店に行きました。


非常にそれっぽい店名(コースター参照)

グラスも可愛らしい



内装もね、アリスモチーフだけあってとっても可愛らしかったです。
店員さんも若い可愛い子がいっぱい。制服も可愛い。
ロリータちゃんが出没しやすいという話も納得です。

でも一人もいなかったけどなロリータファッション。
むしろいい年したオッサンの二人連れがいたわ。何でだよ。いいけどよ。

それにしても「お前がロリータちゃんになれ!」と言いたいぐらいの可愛いウエイトレスさんたちは皆、
面白いぐらいに「おそるおそる」という感じで接客してくれました。そらそうだ。








なんせウサギ連れちゃってるからな、この客。



ちなみにこのウサギは、その昔ナヲコ師匠が御自ら縫ったという伝説のぬいぐるみ「羅衣音(らいおん)」。
705パワーが宿っているならば、きっとお守りになるだろう!ということでついてきてもらいました(わりと切実に)。
おかげさまで無事に帰ってくることができたわけですが。あとツイッタでオラに祈りの力をわけてくれたみんなの力で。


…という内部事情があるなんてもちろん周りの人は知らないわけですからね、
「うわあ、アイツぬいぐるみ持っちゃってるよ…」ってな感じでちょっとしたホラーですよ、私。
そりゃあ若い女の子はビビるわ。


反してたぶん同年代だと思われる店長っぽい女性は、まったくみじんも動じずに接客。さすが。
こういうところで「年齢」を感じるのは、自分も年齢を重ねた証ですから、なんだかちょっと誇らしいような気持ちにもなりました。
こんなカッコで誇らしいも何もあったもんじゃないけど。あと、たぶん、「コイツ30代だな」って見抜かれてたと思うけど。やっぱ肌の張りが全然違うからね。



あそうそう、ぬいぐるみ、持って行くかどうか事前にかなり悩んだんですよ。
ただでさえこんなカッコしてるのにさらにぬいぐるみってどうなのか、っていう。
結論から言うと「こんなカッコしてる時点でぬいぐるみのひとつやふたつ持ってようが持ってまいがどうでもよくなる」でした。



んでまあ、ふつーにパスタとか頼んで食ったんですけど、その写真はないです。


手元とか




胸元とか




全身の写真がボカしてあるので、
「もしかしたらコイツ、ロリータ着てねんじゃね?騙ってね?」って思われる可能性を考慮して
パーツの写真を撮るのに必死だったもんで。


あと、ふつーに緊張で胃がキュウキュウいってて、パスタ押し込むので精一杯だった。


つーか、暑っちいの。食ってると汗かくの。頭と首が。
ボンネットって暑いのねー。さらに逆毛のせいで空気含みまくりのぐりぐりヘアが顔と首まわり覆っちゃってるもんだからすごい暑い。

でも、なぜか額や顔には汗かかない不思議。モデルかよ。


早々に食って立ち去り、いよいよ次は執事喫茶へ。



パッと見わかりにくいけど

電車に乗ったよ



執事喫茶は池袋だからね。山手線で移動です。このカッコで。
ちっさい女の子がずーっとこっち見てました。

そうそう、小さい子とも何人かすれちがったけど、空気読める子はいっさいこっちを見なかったのがまた笑えた。


つーわけで池袋到着。ここも人多いなー。新宿駅より多いわ。


でも私は意外なことに、人ごみを歩くのわりと得意なのです。
コツは「スッと半身でよける」と「とにかく謝りながら」の2つ。
「トラブルは全力で避けろ、弱ぇんだから」という、私が少林寺拳法で学んだ唯一の武器。


……が、今日に限ってはものすごく歩きやすいことに気づいた。


なぜなら、私の前後左右、つねに人一人分、空いてるから。


みーんな避けてんの俺を(笑)。俺だよトラブルは(笑)。俺俺ー(笑)。
マジで、これに気づいたときもうちょっとで大爆笑しちまうとこだった。


池袋なんてねほんと、ふだんはすっごい歩きにくいんですよ。
私、背が小さいんですけど、そうすっと他の人に思いのほか距離ツメられたりしやすいんですね。目測誤られて。
結果、常に軽く袖すり合っちゃうみたいな感じになって、すげえうっとうしいの。


それが嘘みたいに快適。すがすがしーい。
やだー、池袋、ちょっと好きになっちゃうじゃなーい。今までは「埼玉県池袋市」つってすげえ蔑んでたけど。


あと、池袋のキャンギャルの女の子たちが、新宿の人と違って私にも試供品を配ってくれました。

中央の文字を見ろ

文字ってか、数字を見てくれ



やだー、池袋、だいぶ好きになっちゃうかもー。
あと、キャンギャルちゃんたちもおっそろしく可愛かった。今の若い子ってなんであんなどれもこれもピッカピカに可愛いの。


…とかなんとか思いながら歩いてたら、予約の時間にウッカリ遅刻しそうになってしまいまして、
ちょっと走らざるを得ない状況になったんですが。


あのー、ボンネットって、すごく風にあおられやすいんですね。
だから脱げないように、両手で押さえて走るわけですよ(ちなみにぬいぐるみはバッグの中)。
で、ガッツリ走っちゃうとスカートがひるがえっちゃうから、
なるべく振動しないように、こう、トトトトトッと走る。こう小走りに。バレリーナが舞台に出てくるときみたいに。


結果、
「お寝坊ウサギさんをおいかけて走る不思議の国のアリスちゃん☆」みたいなことになってんの。



何自分で自分に気持ち悪いキャプションつけてんだって話ですけど、
ほんとに我ながら気持ち悪かったですよ、この時は。自分が。
傍目から見たら本当に、異世界の人物っつうか、完全に一人芝居の世界。女海賊ビアンカもビックリ。ベニスのゴンドラ見えちゃう。
「あはははははは俺ちょーーーーーきめぇーーーーーあはははははははははーーーーーー!」
って頭んなかで絶叫しながら走ったもん。


いや、こんなカッコしてるとね、ほんと、走り方ひとつ、歩き方ひとつでもガラッと変わっちゃうんですよ。
しかも計算じゃなくて本能で。マヤなみに。
「いそいそ」「しずしず」っていう擬態語がピッタリの歩き方になっちゃう。
肩も開けるだけ開いてるから肩甲骨がちょういてえし、背筋ものばしすぎて後日腰に来たし。
バッグも、片手持ちじゃなくて常にお腹のあたりで両手持ちしちゃう。まあこれは「いつひったくりに遭うかわからない」っていう警戒心のせいもあるんですけど。
そういや新宿でコインロッカー探してるときなんて、ナチュラルに人差し指をあごに当てて「んー…」って言ってたからね。
恐ろしいですよ。見た目は人を変えるよ。



そんなこんなで

来たぜ執事喫茶




はい、来ましたよついに。


中の写真は撮っちゃいけないので私は所有してないのですが、だいたいこういう内装です。


事前に他の人のレポ読みまくってだいたいの流れはつかめてたんで、
入り口でイケメン執事に「お帰りなさいませお嬢様」って言われても別に特に動じませんでしたが、
むこうも俺の姿を見てもピクリとも動じなかったのは賞賛に値すると思ったよ。


エントランスロビーで待たされること3分ほど。
執事頭っぽいおじいちゃんと、担当執事が来てくれました。
担当執事ってのはまあ、早い話がテーブル専属のウエイターです。


担当執事の三浦(仮名)、イケメンというよりカワイイ系。CV:代永翼って感じ(オタ臭い例え)。
ちっこい背丈でよく動くキャラ、アニメではよくいるけど現実にもいたのか、ってちょっと驚きました。


でもまあ、こちとら乙女・BLどちらのアンテナも持ち合わせちゃいないもんですから、
カワイイ執事くんにおもてなしされて「キャー(はあと)」ってなテンションの上がりかたではなく、


「お前が本気で執事キャラとして挑んでくるならば、こちらも本気のお嬢様キャラで迎え撃つまでだ!」

…という、完全に果たし合いの気持ちで臨みました。



・三浦、俺を「英国留学がえりのお嬢様」として設定
・俺、それ聞いて「うふふ(そういうことにしときましょうか)」
・俺、秘技「ウサギとアンニュイに戯れる」発動
・三浦、すかさず俺をトイレにつれて行くときに「ウサギさんにはお留守番してていただきましょうか」発動
・拾えるネタは全部拾う三浦の手腕に感心
・ナプキン落としたら言う前に新しいのくれたところも素直に感心
・三浦、普通にサービスマンとしても能力高いんじゃねえの(パッと見周りの執事と比べて)
・三浦に選んでもらった紅茶、超うまかった
・イチジクづくしのデザートも、超うまかった
・三浦、すげえがんばってるな、カワイイ系キャラはどうしたって王道じゃないもんな
・お前、漢だよ、俺、感動したよ


とまあ、そろそろめんどくさくなってきたんで箇条書きでまとめましたが、
いや、いい執事にあたったわ。よかったよかった。
他の人知らないけど、クオリティは高いよ。ご飯もサービスも。
興味がわいたらぜひ行ってみることをオススメします。面白いから。


あとやっぱり、ここまでキャラ作ってもらって
こっちが素だとなんつーかいろいろもったいないんで、
そういう点ではロリータちゃんで行ったほうがより楽しめるね。おトク。おトクちゃん。


つまりはこれ、ごっこ遊びなんですね。小さい頃よくやりましたが。


紅茶を飲みながら、とつぜんわけもなく
「ああ、これたぶん、俺の最後のごっこ遊びだ」
って思いが胸をつきあげました。


もう自分は親になった、もう子どもじゃない、っていう
そういう気持ちが溢れてきたというか。
ウッカリ泣きそうになりました。全然泣きませんでしたけど。
ちょっとセンチメンタルになる、執事喫茶マジック。



てなわけで90分の時間はけっこうあっという間にすぎまして、退店。
おじいちゃん執事の人は今までいったいどういう人生を歩いてきたのが、すごい気になりました。
それだけが心残りです。



実はこの写真は

すべてが終わって新宿に帰ってきたときの夕景です




今回けっきょく、ひどいヤジや誹謗中傷はひとつも受けませんでしたね。
ひったくりにも遭わなかったし、絡まれもしなかった。いきてかえれた。まじこわかった。
東京という土地柄もありますけど、やっぱり
ロリータファッションを辛抱強く根付かせてきた、メゾンや歴代の勇者ロリータちゃんたちの功績によるものでしょう。


それどころか、道中まさかの「カワイイ」「お人形みたい」って声が聞こえましたからね!
しかも3回!
(※)


※グリコの耳に入った発言はすべてグリコ本人に向けられたものとしてカウント。
 よって、全然違う人やものに対して発せられた評価だとしても、まあ、そんなのはどうでもいいじゃん。ポジティブにいこうぜ。



ルミネのエスカレータにて、真後ろにいた女性たちに
「こういう人ってまだいるんだ…」って聞こえるようにささやかれもしましたけどね。
まあ、こっちも「さぁ……」って言うしかないですよね。なんせニセモノなんで。知らない。

「こういう人」っていうのが「ネタになるってだけでコッテコテのロリータ着ちゃうヤツ」っていう意味だったら
「いねえだろそんなの(俺しか)」って答えられたけどな。


でもまあ、今日一番の大ヒットは、





サンシャイン通りにて、ATフィールドのかけらもなさそうな類の金髪お兄ちゃんに
「………お、おう、お疲れ!」
って、ためらいがちに労ってもらったことですかね。




これはハッキリ俺の顔見て言われたから間違いない。



厳戒態勢だったんでそのときはスルーしちゃったけど、
今思えばすれ違いざまにほほえみ返してやってもよかったな。



てなわけで、俺の人生最初で最後のロリータちゃん体験、これにておしまーい。



つかれたー。
やってみて一番の感想は、
「ロリータちゃんって、大変だな」ってことでした。


私は、たとえ人に何か言われても
「俺、なんちゃってロリータ野郎だし」で逃げられる部分がいっぱいあったけど、
本物のロリータちゃんたちは、いっさい言い訳がきかないんですもんね。
一番コアな部分をつねに人目にさらけ出して歩いてるわけですから。
「こいつ…全身がコアだ!」ですよ。エヴァQですよ。ともすれば自爆で道連れですよ。


まあ、そのぶん「生きてる!」って充足感もまた得られますけどね。
楽しいしね。


家に帰って、お洋服をクリーニングし、
フリルの形を整えながら、

「ああ、こんなにフリルとリボンがいっぱいのドレス着て、私、楽しかったんだ」

って、初めて自覚しました。



ありがとね

またいつか、誰かに着てもらおうね










「ロリータちゃんに、俺はなる!」-了-



おまけ

使ったカラコン(ちょっときみわるい)

楓蔦きなり

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