楓蔦黄屋
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2014年11月22日(土) |
ロリータちゃんに、俺はなる!〜実行編1/2〜 |
そら来たホイ来た!ダッタン人の矢よりも早く!
つーわけでいよいよ企画「ロリ俺」(略した)、「実行編」です。 「涙の実行編」としてもいい。
2014年9月某日にちようび。 ついに人生初、全身ロリータファッションに包まれる日がやってきた!
「そのまま帰ってくんな」という旦那(9時5時で子守り)からの激励の言葉を受けて、いざ出陣。
…とはいっても家から着て行くのは失うものが多すぎるので、 まずは普段着で新宿まで行き、フィッティングルームのある化粧室で着替えることに。
ロリータファッションアイテムを詰めこんだバッグを抱え、 電車に乗って新宿にやってきたんですけど。
知ってた?
日曜日の新宿って、ちょーーーーーー人多いの(笑)。
カッコ笑っちゃうほど多いの。すごいの。人だらけ。 あれー(笑)。こんなんだったっけー(笑)。あれー(笑)。あれあれー(笑)。 子ども産まれてから滅多にお外出なかったから忘れてたわー(笑)。
…とまあ笑ってるのはカッコん中だけで、本気で青ざめた。
ちょ…え、ほんとに俺、この人ごみの中をあのカッコで歩くの?メヌエットミルフィーユで?うさみみボンネットで?え?この中を?本気で?え、なんでですか?なんでわざわざそんなことしなきゃなんないんですか?
新宿南口
押し寄せる人波にほんとの幸せ教えてよ
↑これだとあんまり人いないように見えますけど、ほんっといっっっぱいいますからね。 ていうか、この写真でもいいや、ちょっと想像してみてください。ここをあなたが、今からロリータファッションで闊歩すると。
「いやいやいやいや」って思うでしょ?思うよね。
思ったよ俺も。 つーか、一瞬ここで帰っちまおうかと思った。本気で。
でももうここまで来たからには後には引けない。 「ロリータファッションで街を練り歩こうと思ってたけど、人の多さにビビって土壇場でやめました」なんて ネタとしてはもう一番つまんねえからそんなの。 ここで負けてしまったら絶対後悔するわ!がんばって、グリコ!
…と自分を叱咤激励し、フィッティングルームへたどり着くも もう頭ん中真っ白で、どっからどう着替えたらいいのか考えられなくなってる。 「何も考えずにここからいっこずつ出して身につけていけ」ポーチをゆうべ準備した俺グッジョブ(普段ならそんなマメなこと絶対しないのに一体どういう虫の知らせか)。
着替えながらも、緊張と恐怖で息がハアッハアいってんの俺。マジで。
少しでも顔が隠れるように、ツインテに結んだぐりぐりの髪の毛をさらに逆毛立てる。 「増やさなきゃ…増やさなきゃ…」とブツブツ言いながら震える手でクシを動かすその様は、 さながら初めてエヴァに乗った時の碇シンジ君。
それでもなんとかお着替え終了し、
生まれて初めてロリータちゃんになった俺が、
これだ!
公開するわけねえ。
………これは、キッツい。わかってたけど、実際目の当たりにすると、マジでキッツい。
かけるよそりゃモザイク。もっと荒くしても全然いいよ。3画素ぐらいでいいよ。
つーか、なんならモザイクかけたことでちょっとイイ感じになってるからね、これむしろ。 モザイクとったらこれもれなく 「うわぁ………(絶句)」 てなるから。なったから。俺が。本人が。
あのー、よく「メイクをちゃんとしろ」とか「痩せろ」とか「なんで髪ボサボサなんだよ」とか「ちょっとはコーディネイト考えろよ」とか そういう批評があるじゃないですか、ロリータファッションしてる人に対して。
そういう、ある意味ネタになって後世に残ってゆくような「うわぁ……」じゃなくてさ、 「ちゃんとヘアメイクをフルでやって、それなりの全身コーデして、デブと言われるほど太ってない『うわぁ………』」ってあるじゃん。
まさにそれ。今の俺。
あと致命的なのが頭身のおかしさね。顔がでかいのもあるけど、足が絶望的に短いんですよ。 「こう上から見ていって、本来続くだろうと思う先に足が続かないから、肩すかしくらう」 「スネがだるま落としみたいに一部スコーンととばされたみたい」とは旦那の評です。 あれだ、ブライスちゃん好きな人にはもしかしたら大好評かもしれないね!まあ頭部パーツは即刻取り替えられるだろうけど。
……とかなんとか、まあでも、ここでウダウダしてても仕方ないので、 覚悟を決めて、化粧室を出ました。 つーか、さっきからけっこう化粧室来る人達とすれ違ってるし。
さあ、 (たるんだ頬を引き上げるために)おめめをぱっちり見開いて、 (ほうれい線をごまかすために)ニッコリと口角をあげて、 (子持ちの背肉を隠すために)背筋をキュッとのばして、 堂々と人混みに出て行きましょう!
…。 ………。 ……………。
新宿駅の東南口に向かって、歩くこと数分。
周りの人達が、見ないフリをしてくれてるのが、手にとるようにわかる。
注目を浴びるでもなく、奇異の目を向けられるでもなく、ただただ、普通の人として扱ってくれる。
東京の人、すげえやさしい! ドラえもんでもないのに、俺に石ころぼうしをかぶせてくれてるよ!
いつもはしつこいティッシュ配りのお兄ちゃん達でさえ、誰一人ティッシュくれない。
そういえば、一人ディズニーのときも感じたな、この空気。 視線は感じないんだけど、視線を外される気配はすごく感じるの。 ああ、これが都会の優しさなんだな、って思ったよ。 いや強がりでなくて、本当に。 「この優しさを肌で感じたくて、俺、こういうことしてんだ」ってまたひとつ自分のことわかったもん。
つづく。
楓蔦きなり
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