宮台 自分の本に絡んで、人が死んでしまったのはきつかったです。
中島 一時戦略を変えたんでしょう。
宮台 そうですね。 最近政治の世界とかロビー活動をしているのは、 あまり他人を自意識のゲームに巻き込みたくないのと、 もっとうまく逃げるためのスキルを提示したいと思ったからです。
中島 僕も、騒音に対する抗議活動をしてるでしょう。
宮台 すごいですよねえ。
中島 多くの人がすぐ誤解するわけ。 放送やBGMやケイタイの電子音に対する抗議行動を、 社会的なものというふうに。 でもそんなこと全然考えてない、当然のことながら。 何をやっているかというと、自分をいつも罪人にしておきたいから。 油断していると、だんだん正しくなっちゃうんですよ。 宮台さんは正しいことをやっているつもりでしょう。形としては。
宮台 そうですね。
中島 僕はそれができない人間なんです。 気持ち悪くなるし、かといって臆病だから、犯罪はできないのです。 そうすると、マイノリティの持っているスタンスを利用して 犯罪的なことをやる。
宮台 そういうことだったのか。
中島 そうすれば僕としては安心する。 スピーカーを奪いとったり、かなりなことをやるから 調布警察には目をつけられていますね。 こんな悪いことをしたと自分に言い聞かせて、 ようやくバランスを保っているんですね。
宮台 (笑)、癒しのはなしはどこへ行っちゃったのかな。
中島 僕はそれしかできない。 それが癒しなんです。
★哲学と癒し/中島義道×宮台真司★
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