当時、息子は九歳か十歳。別々に暮らしていたが、毎年夏の一時期、 ある店でライブをしていたときだけはいっしょに過ごしていた。 それは息子を連れて北軽井沢へ行ったときのこと。 ある日の昼間、僕と息子はレストランでくつろいでいた。 暇だったので僕はギターを持ち出してきて曲を弾き、 息子がそれに合わせて歌を歌っていた。 そのときたまたま地元で知り合った息子の友達が何人かいて、 「おじいさんの古時計」という曲を弾いたときに、 息子といっしょになって歌を歌いだしたのである。 それを聞いたときに、「ああ、いいなあ。こういうのを録音してみたいな」 と思ったのだ。 これがとっかかりとなってできた「ねこのねごと」は、メルヘンチックな作品となった。
★バーボン・ストリート・ブルース/高田渡★
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