宿題
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2006年05月25日(木)
森繁自伝/森繁久彌
私のことにしても、たびたび、シット深く 「あいつの昔を知ってますがね、満州ではひどい恰好で働いてましたが、 終戦まもなく引き揚げて来て、スキヤ橋でダンスの講師をやっていた男ですよ」 と得意そうにカゲ口をたたき、貸しもせぬのに 「随分、金を貸したり、面倒見てやりました」と吹聴してるのを耳にした。 が、最初から大した奴でありましたと毛頭云った覚えもなければ 私もそうなるとはツユ思ってもいなかったのだ。 ただ、どんな時にも、いやこれからも、私が何を考え、何を夢みてるかは、 他人には永遠に分らぬことである。
★森繁自伝/森繁久彌★
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