森光子さんは、十五年くらい前、パンダに関する私の話を、 馬鹿にしないで聞いてくれた。 それ以来、私は森さんを勝手に友だちと決めた。 仕事でも人生でも大先輩なのだけど、やはり私は、友だち、と思っていたいのです。 ニューヨークにいたとき、私は森さんに手紙を書いた。 「朝、インスタントじゃないコーヒーを飲んで、 昼間、公園のベンチでぼんやり過すっていう生活を、森さんにもしてほしいの。 居候にいらっしゃい」。 すぐに返事が来た。 「仕事の都合でどうしてもダメ。おこづかい困ってませんか?送ります」 森さんの、体に似ない大きい字の手紙の上に、涙が落ちた。 こんなに優しくて哀しい人は、そういない、と思ったから。
★おしゃべり倶楽部/黒柳徹子×森光子★
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