父はまた、彼の父親の生涯で最も幸福と思われる日のことも話してくれました。 わたしの父方の祖父は、インディアナ州での少年時代、 動く機関車の前の排障器に友達と並んで座っているときがいちばん幸せだったようです。 その機関車はインディアナポリスからルイヴィルまでシュッシュッポッポと走っていました。 まだ広大な未開地が残っており、川を渡る橋は木造でした。 夜になると、空は機関車の煙突から吹き上げる花火でいっぱいになる。 世の中にそれ以上すばらしいことがあるでしょうか? ひとつも考えられません。
★米国芸術協会における公演(1971年)/カート・ヴォネガット★
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