私たちは忘れてしまっているのではないでしょうか? 木には葉があり、葉がきらめいているのは太陽のおかげです。 私たちのテーブルには食物があって、旅人を招くことができる。 偶然通りかかった人を招き入れて、いっしょに食事をする。 その人が誰であるのか、どこから来たのか、いっさい問いかけもせずに、です。 道は人が行き交うためにある。旅をする人のためにある。 こういった人と人との単純な結びつきは、ひょっとしたら、 猫がゴロゴロとのどを鳴らす音かもしれない。 あるいはロウソクの炎かもしれない。すごく単純なことなのです。
★「話の話」について/ユーリ・ノルシュテイン★
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