宿題

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2005年05月27日(金) 七人のネコとトロンボーン/谷啓
このぼくも、照れながらデートを重ねていたわけだ。
そして、会う度に彼女に「結婚しようよ」といおうと思っているものの、
「ケッコン」という言葉がどうしても恥ずかしくていえない。
彼女のほうは、ぼくのプロポーズを待ちきれなくなったと思う。
ある日、なぜか二人は山手線の電車に乗っていた。
その電車の中で彼女がぼくにプロポーズした。
「そんなこと、いった覚えはありませんよ」
とカミさんは今でも否定するが、いや間違いない、
おれはおれの耳で確かに聞いた。
じゃないと、ぼくたちはどうやって結婚できたんだよ。
ぼくはいまでも昔でも、家の中でもよく冗談をいっているが、
それはもっぱら子供たちに向かっていっているのであって、
カミさんの前ではいまだにいえやしない。
結婚して三十五年以上、それでもカミさんの顔をまともに見て、
バカひとついえない男なのである。


★七人のネコとトロンボーン/谷啓★

マリ |MAIL






















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