(あなたの絵を見ていると、わたしはデジャヴュの感覚に襲われるんですよ。 なんだか、あなたがヘンリー・ジェイムズの小説につけた挿絵を見たことがあるような気がして。 ヘンリー・ジェイムズの小説世界にはゴーリー風なところがある、というだけでしょうか?)
G「でしょうね。ニューヨークに出てきたとき、わたしはダブルデイ社に就職したんですが、 仕事のなかにアンカー・ブックスシリーズのペーパーバックの表紙がありましてね。 ヘンリー・ジェイムズもいくつかやりましたが、評判はよかったですよ」
(ほほう)
G「わたしは、ヘンリー・ジェイムズに対して、昔からアンビヴァレントな思いを抱いてきたんです。 彼の作品はほとんど全部読んだはずですが、どの作品も心の底から嫌いなんですよ」
◇
(陳腐な質問ですが、あなたはどんな子供でしたか。精神分析が趣味の人間なら、 こう言うに違いありませんよ。 「この男は、みじめで、恐ろしくて、奇っ怪で陰惨な子供時代を過ごしたに決まってる」とかね)
G「そんなことはありませんよ。シカゴの郊外で、典型的な中西部の子供として育ったんだから」
(嘘じゃないでしょうね)
G「いやいや」
(インタビューではよく嘘をつくそうじゃありませんか)
G「そうでもないつもりなんですかね。もっとも、わたしは一人っ子でしたが。 それ以外は…」
(暗い横丁に身をひそめるとか、そういうことは…)
G「まさか。自分が他の子供よりずっと詩的で繊細だったと思いたいのはやまやまですが、 事実はそうじゃないようで」
★どんどん変に/エドワード・ゴーリー×ディック・キャヴェット★
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