その日、わたしの目をひいたのは、大ぜいの中性である。これこそわたしの同類だった。
この人たちは、わたしと同様、どこからも愛を求めず、わたしと同様、
ほとんどすべての好ましいものに偽装爆弾が仕掛けられていることを確信していた。
かなり滑稽なアイデアが、わたしの頭にうかんだ。
いつの日か、われわれすべての中性は、隠れ場所から出てデモ行進をするだろう。
先頭の一列が、五番街いっぱいの幅でどんな横断幕を掲げるべきかも、
わたしはすでに決めていた。
そこには、高さ四フィートもある文字で、たった一つの単語が綴られているだろう──
EGREGIOUS
たいていの人は、この単語が言語道断とか、前代未聞とか、許せないとかの意味だと思っている。
だが、横断幕の単語はそれよりもっと面白いことを語っている。
それは”群れの外にいる”という意味なのだ。
考えられますか──何万人もの人間が群れの外にいるところが。
★デッドアイ・ディック/カートヴォネガット★
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