私がすべての秘密を打ち明ければ、先生はきっと喜んだろうが、
そんな満足をわたしは一度も与えなかった。
先生に対しても、ほかの誰に対しても、氷のようにひややかに接することが、
いちばん安全で賢明に思えたから。
しかし、先生の質問に対する答えはこうだ──わたしは自分自身に歌を聞かせていた。
これはスキャット唱法といって、黒人の発明である。
彼らはこれがふさぎの虫を追い払うのによく効くことに気づき、わたしもそれに気づいていた。
「ブービー・ドゥービー・ワップ・ワップ」
とわたしは自分自身に向かって歌うのだった。
「スカッディ・ウィー・スキーディ・ワー」
その他いろいろ。
「ビーディ・オップ!ビーディ・オップ!」
すると旅路は過ぎ去り、歳月は過ぎ去った。
「フードリー・ヤー、フードリー・ヤー。ザン・リーバ・ダップ。
ファァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
★デッドアイ・ディック/カートヴォネガット★
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