奥野さんは奥野さんで、「乞食と女」の女が門山家の女たちの感じそのままだ、と言うのだった。
奥野さんの言う門山家の女たちとは、若い頃の、門山さんの姉さんや妹さんたちを指すらしい。
いま『窓ぎわのトットちゃん』で大当たりに当たっている黒柳徹子さんが、
これまた門山家の血筋だそうで、門山さんの従姉妹の朝子(ちょうこ)という人が黒柳家へ嫁ぎ、
生まれた娘が徹子さんなのだが、奥野さんは、テレビなどの黒柳徹子の声だけ聞いていると、
門山さんの女きょうだい、なかでもすぐ下の妹さんとまったく区別がつかないそうである。
ともあれ、奥野さんの話で私はふと思ってみた。
村山塊多が理想像として描く場合の女のイメージは、門山家の女たちだったのではあるまいか…。
★気まぐれ美術館 セザンヌの塗り残し/洲之内徹★
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