最初におことわりしておきますけれど、僕にもしも自分の雑誌というものがあるとしたら、
執筆者の経歴などというものを載せる欄は絶対に設けないだろうと思います。
そういうことを知らせてやる作者はまた、開襟シャツなんぞを着たところを写真に撮られたりして
―顔はきまったように四分の三の角度から撮ったプロフィル、
深刻な表情を湛えているといった按配です。
僕はこれまでにも二、三の雑誌に略歴を書いたことがあるにはありますけれど、
果たして正直なことを書いたかどうか、保証の限りではありません。
★ハーパーズ・マガジンへの返信/J.D.サリンジャー★
■「ナイン・ストーリーズ」のあとがきから。 略歴を知らせてくれ、という雑誌社に対するサリンジャーの返信がこれ↑。
32歳で「ライ麦畑でつかまえて」を書いてものすごーく売れて、 34歳で「ナイン・ストーリーズ」を刊行後、隠遁。 46歳で「ハプワース16,1924」発表後は完全に沈黙してる、ってなんかもう。
「ライ麦」の翻訳契約もいろいろ要請があるらしく(顔写真を載せない、略歴を載せない等)。
なんか、載ってる顔写真(四分の三の角度から撮ってる)が ものすごく嘘っぽく思えてきました。
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