きのう内田百間(ほんとうは門構えに月)の言葉を書いたらMさんという方から
「私は、内田百間が賞を断った時の『いやだから、いやだ』が、世の中で最も好きな言葉です」
というメールをもらった。ありましたね。それもすごくいい。百間らしい。
ただ正確には「芸術院会員」に推薦されたときの言葉です。
しかも、「いやだから、いやだ」と言っているわけでもないのですね。
芸術院会員辞退の理由をメモとして百間は問答形式でこう書いている。
御辞退申シタイ
ナゼカ 藝術院ト云フ會ニ這入ルノガイヤナノデス
ナゼイヤカ
気ガ進マナイカラ ナゼキガススマナイノカ イヤダカラ
これはもう、子どもの言いぐさである。
戦争はいやだ。なぜいやなのか。いやだから。いやだから、いやだ。
★富士日記(3月19日)/宮沢章夫★
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