○プラシーヴォ○
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ハム男が私にアプローチしているのと同時進行で、 Tくんという彼も、私を一生懸命誘ってくれていた。
同じコンパに来ていたのだが、 ハム男とそんなに親密ではないらしく、 お互い、私のことを好きなのは全く知らないみたいだった。
Tくんと御飯を食べることになった。 話してても、あまり楽しくなく、なんだか気疲れする人だった。
店を出て、駅に向かって歩いていると、 途中の公園で立ち止まって 「付き合ってほしい」 と言われた。
そんな気はサラサラなかったけど、 「考えさせて」 と、とても嬉しそうに返事をしてしまった。 私の気の弱さと、ズルさが噴出。
その瞬間、携帯が震えているのに気がついた。 「ああ・・・よかった・・・。もう電話にでてくれないかと思った」 ハム男の泣きそうな声。 「・・・泣いてるの?」 「泣くよお。だって、昼間からずっとかけてるのに がちゃ子ちゃん全然出てくれないんだもん。 今度、出てくれなかったらもうあきらめようと思ってたんだ・・・ あああ、本当によかった・・・」
不覚にも胸がキュンとなってしまった。 ごめんねハム男。心配させて。
電話を切った後、Tくんが 「ハム男くんとも連絡とってるの・・・?」 「あ、うん。明日遊びに行くの」 「ハム男くんが、自分から女の子に連絡するなんて めったにないことだよ。・・・本気なのかなあ」
え、そうなの?
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