遠距離M女ですが、何か?
井原りり



 あえて弱点を突く



彼女は「犬」である〜12〜


ぐるぐるぐるぐる堂々巡りの果てに、幸福な編集会議まで開いてもらって、あたしが書き上げたメールを要約すると……。


>リアルなプレイを渇望するのはわかるが、そんなに焦らずともよいのではないか。

刺激的な性行為をするために便宜上M女になったのではなく、先天的にM女であり、生涯その看板をおろさない以上、プレイの有無は問題ではない……云々。


いはらの検閲後、i-mode向けに250字以内に分割したりなんだかんだやっているうちに、送信したつもりになっていたが、これは「つもり」のままだった。


翌日、京都駅巨大階段の途中にあるカフェで在来線の待ち合わせ時間中、Zaurusでメールチェック。
送信簿をよくよく見たらば……が〜ん!
「未送信」のまんまじゃん。

あっちゃー。


昨日の昼でさえ「いつまで待たせるつもりだ」と怒ったいはらだ。

もし、いはらが「K」にめるして、わたしからまだ何の音信もないと聞けば、また叱られてしまう。


叱られるのがこわいからって、報告しないで黙っているほど、わたしはバカではない。
かねがね、りり@粗忽もの と認識されているのだから、まったく勘弁してくれよ、ではある。

まず、大急ぎで「K」に送信したあと、いはらにもお詫びめるを送る。


わたしが一人でぐるぐるし、いはらがいらいらとそれを我慢した一日。「K」は「K」で、わたしらから何の反応もないことに、はらはらして過ごしたらしい。
それは「K」の不手際ではないのだが、丁寧な言葉であっさり謝罪されると、逆に「むっ」としてしまう。


それはさておき、わたしのメールに「K」がどう反応したか、よく覚えていない。

一週間後に「K」がわたしに会いに来てくれることになっていたので、そっちの方に関心が移ってしまっていたからだろう。


「K」が来るならば、それなりの準備がいる。


いはらに「K」とプレイしていいか、と聞くと「向こうはそのつもりでくるんじゃないのか? きちんといろいろやってあげるべきでしょう」という楽しそうな返事。


準備も含めてこの一週間は、初めて経験することも多く、かなり淫靡でぞくぞくした。


まず、こんな課題が出た。

「「K」には今、ビー玉を尻に入れて生活させてるから、りりも同じことをしてみて」

ぎょっ。

うぬぬ。

わたしの弱点はアナだ。
それを尻ながら(知りながら)これか!

息がつまるほど縛られても、一本鞭でびしっと打たれても、痛さより気持ち良さを感じるわたしだが、あそこはだめだ。


ざざざーっ。


ちびまる子ちゃんの登場人物たちのように、あたしの額にもタテ線が入る音が聞こえた。





2002年10月07日(月)
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