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■ 怖れていたこと
彼女は「犬」である〜7〜
8月下旬、家族全員の遅いお盆休みがわずか1日だけとれる>なんて家だ。
電車で30分の県庁所在地にあるちょいと高級なホテルで、ぼけーっと夏休みの一日を消費したあと、眠る前にZaurusでメールチェック。
「K」からのメールを読んだわたしはベッドの上で固まってしまった。
再度受信トレイを開けて確認したりすると、アタマが痛くなりそうだから、引用などはしないが、だいたいこういう文面だったように思う。(抜粋)
>実際のプレイに対しての誘惑に抗えないと、いはらにメールを送ったところ、その返事はりりからもらうようにとのことだった。
>りりから返事が来たら、いはらに転送することになっているそうだ。
おい。どうする! もう、来たよ。 来ちゃったよ。
うわーっと叫び出したいところだが、家族旅行(?)の最中だ。
どうするどうするどうするどうするどうしたらいいんだあああああ。
がたがたがたがたふるへだしてもうものがいへませんでした。(宮澤賢治『注文の多い料理店』より)
やっとの思いで、まずはいはらに宛ててなるべく短かめにメールを書いた。
>ついに、おそれていたものが来ました。
なんちゅうむちゃくちゃな書き出しだ! と今なら言える。 相当に動揺していたんだな。
とにかく、わたしでさえ滅多には逢えないいはらとプレイしたいだなんて、とんでもないことを言い出したものですね、みたいなことを書いてしまったわけだ。
翌朝、いつもは昼近くまで寝ている夫が早朝から目を覚まし、窓枠のでっぱりに座って(「あいれん」さんが正座してたりする窓のところです)眼下の街並みや駅のプラットホーム、線路を行き交ういろんな電車たちを飽かず眺めている。
実在の列車たちがまるでNゲージサイズに見下ろせるのだ。 本物なのに、Nゲージ! だなんて。
これにはハマる。
もしもまた高校生になれたなら、今度は鉄道研究会に入るのもいいな、と思うくらいだ。
そうこうするうち、いはらから着信。 メールじゃなくて、着信?! あ、すぐ切れた。
「着信でしたか?」とメールする。 「です。話すか?」 「家族旅行中でホテルにいます。このままお願いします」
わたしの返信には誤解があるらしい。
「K」はいはらとプレイしたいとは言っていない、という。
そんな……。 だって……。
ただリアルなプレイをしたがる自分=「K」を、われわれがどう見るか、と聞いているだけなのだそうだ。
そんな、バカな?
いはらと「K」の間では、逢う会わないという話題すら上がってはいない、という。
そりゃあ今まではそうだったかもしれないが、りりさえ許すなら、これからその話を進めて行きたい、ということじゃないのか?
メールをぷちぷち打つのもまどろっこしい。
いはらのいらいらが、怖いくらいに伝わってくる。
「最近、浮わついてないか?」 「何が順番か。何が一番大事なのか。よく考えよ」
どうしてわたしが「浮わついて」いるなんていわれなきゃならないんだ。 それは理不尽というものだ。
こんなにも、苦しいのに……。 泣くことさえできないのに……。
いはらも仕事が始まったとみえて、メールのやりとり@朝の部 は、ここで途切れた。
2002年10月02日(水)
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