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■ 頭脳系のSM
彼女は「犬」である〜6〜
最初は「K」から毎日「今日の課題はこれこれで、今から報告する」といったメールが来ていたが、そのうちそれがなくなっていく。
ああ、もう二人は直でやりとりしてるんだな。
いはらの命令は短い。 むしろそっけない。
世間で流通しているような独特でミョーにいやらしいくせに全然官能からはかけ離れている「ご主人様コトバ」など、一切使わない。
でも脳天に届いてカラダを揺さぶる。
あたしたちが「頭脳系のSM」を標榜するゆえんはここにある。
「K」がどんなに前の飼い主に入れ込んでいたかを知っているので、よもやいはらに「コロっと参って」しまうようなことはあるまい、とわたしは自分に言い聞かせる。
いはらは自分に引き寄せられるMを「患者」とよく呼ぶ。 医者の思惑に関係なく、患者は医者に「コロっと参って」しまいがち。
そう。
「言い聞かせ」ていなきゃいけないくらい、あたしのココロの中に疑惑は芽生えつつあった。 アタマじゃわかってたって、感情は噴き出して来てしまう。
いはらにその気がないってことは、わかる。
でも「K」がその気になっちゃったら、あたしはどうすればいい?
嫉妬しちゃいけないってことは、すべて一切なんの口出しもできないってことじゃんか。
「オトコなんてわかったもんじゃないわよ。口先だけでなら、なんとでも云えるんだから……」とひとはいう。
いはらがいうように、わたしら奴隷姉妹が「よく似ている」なら、あたしがそうであったように「K」がいはらに逢いたいと願うのはごく自然ななりゆきじゃないのか。
「K」がいはらに逢いたいって言い出したら、あたしはいったい、どうすればいいんだろう?
2002年10月01日(火)
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