2009年03月28日(土) |
ドラマ 『 DOOR TO DOOR 』 を観て |
「 人は皆、自分の能力を信じ、一生懸命に働かなければならない 」
ビル・ポーター ( アメリカのセールスマン )
All people must believe the ability of the person and must work hard.
Bill Porter
ビル・ポーター は、最も知名度の高いアメリカのセールスマンである。
彼は先天性の 「 脳性まひ 」 だが、その事実と、彼の優秀さは無関係だ。
シェリー・ブレイディ の著書 『 きっと “ イエス ” と言ってもらえる 』 や、映画 『 ビル・ポーター の鞄 』 が公開され、一躍、彼は有名になった。
彼を モデル として、舞台を日本に置き換えた脚本が完成し、今夜、TBS で 『 DOOR TO DOOR 』 という ドラマ が放映された。
あまり原作に忠実ではないけれど、場所や、時代の設定を上手く変化させ、肝心な メッセージ が損なわれないよう、よく出来た脚本に仕上がっている。
主演は 二宮 和也 だが、映画 『 硫黄島からの手紙 』 では ハリウッド から演技力を高く評価されており、今回も、難しい役を好演していたと思う。
障害者を描く作品は、視聴率を稼ぐための安直な 「 お涙ちょうだい物 」 の作品が多いけれど、この ドラマ は、なかなか丁寧につくられている。
ドラマ を観た方も多いと思うが、実在の ビル・ポーター は、歩合給セールスの仕事をする前に、いくつかの職に就き、それぞれ失敗し、挫折する。
ようやく得た歩合給セールスの仕事では、スラム同然の劣悪な地域を担当することになり、営業に出かけても、共働き家庭が多く、大抵は留守だ。
車の運転が出来ず、身支度に何時間も掛かる彼にとって、悪天候は辛いが、彼は 「 雨の日は、人が家にいる確率が高い 」 と気付き、行動する。
何度か転職しているが、最も長く勤めた仕事では、風邪や、病気や、怪我をしても滅多に休まず、寝込んだのは、14年間に2日だけである。
数多くの顧客のうち、一番のお客になったのは、最初に 「 二度と来るな 」 と言った人々で、けして、同情を誘って売っていたわけでもない。
彼の本を熱心に読む層は、アメリカの経営者、営業に携わる人々であり、障害者の活躍する美談ではなく、「 営業の教科書 」 として定着している。
冒頭で述べたように、彼の身体的特徴と、ビジネスマン としての優秀さは、ほとんど無関係だと考えることが正しい。
彼は、自分自身に対し、「 自分にはあれが無い、これが無いと考える前に、自分が持っているもののことを考えろ 」 と言い聞かせていたという。
障害がなくても、運が無いとか、お金が無いとか、才能が無いとか、学歴に劣るとか、なんだかんだ理由をつけては、仕事から逃避する人が多い。
不況で ネガティブ になっている人、仕事に情熱を感じない人などは、彼の本を読み、「 なぜ、働くべきなのか 」 を、改めて見つめ直すとよいだろう。
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