Tonight 今夜の気分
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2009年02月23日(月) 『 おくりびと 』、『 つみきのいえ 』 が、オスカー同時受賞



「 映画というものは、それが幻想であるところに秘訣がある 」

                  ジョージ・ルーカス ( ハリウッドの映画監督 )

The secret to film is that it's an illusion.

                                  George Lucas



絵画、彫刻、文学、建築、音楽、演劇に次ぐ 「 第七の芸術 」 が、映画だ。

他者に比べ、その歴史は浅いが、まだまだ、新しい可能性を秘めている。


米映画界最大の祭典、第81回アカデミー賞の授与式で、『 おくりびと 』 が外国語映画賞に、『 つみきのいえ 』 が短編アニメーション賞に選ばれた。

日本作品のアカデミー賞受賞は、02年度に 『 千と千尋の神隠し 』 が長編アニメーション賞を受賞して以来、6年ぶりとなる。

外国語映画賞は、まだ、名誉賞の一部だった時代に 『 羅生門 (51年) 』、『 地獄門 (54年) 』、『 宮本武蔵 (55年) 』 の3作品が獲得している。

56年度に、同賞が独立した賞になって以降、日本作品は03年度までの間11回ノミネートされながら、いずれも受賞を逃していた。

短編アニメーション賞も日本作品では初の受賞だが、邦画二作品が同時にオスカー像を獲得した快挙に、関係者が歓喜に沸く一日となった。


日本のアニメーション技術が、海外でも高い評価を受けていることは、既に周知の事実だが、実写の 『 おくりびと 』 も栄誉に輝いた功績は大きい。

冒頭に挙げた ルーカス の言葉通り、過去、オスカー候補となった邦画は、アニメや時代劇など、「 幻想 = illusion 」 を抱かせるものが大半だった。

今回の 『 おくりびと 』 は現代劇だが、日本独特の死生観や、死者に対する敬虔な弔い方など、特異な様式美が、審査員を幻想に誘ったようである。

昨年、中国で大地震が発生したとき、応援に駆けつけた日本のレスキュー隊員が、遺体を丁重に扱う姿が現地で報じられ、中国人民の心を打った。

日本人にとっては、ごく普通の所作なのだが、これほど丁寧に弔い事を行う民族は他に類がなく、外国人には、荘厳で美しく、幻想的に映るらしい。


この作品は私も観たが、たしかに 「 外国人が好み、興味を持つだろう 」 と思える内容で、もちろん、作品としての出来栄えも優れている。

だが、これが邦画の ナンバーワン なのかと問われれば、そうとは思えず、葬式を題材に 「 死の中に生がある 」 という描き方も、私の好みではない。

いくら美化しても、死は死であって、老いや病、不幸や悲しみの象徴であり、たとえ泥の中を這いずり回っても、はるか生命の躍動美には及ばない。

できれば次回は、気高く、雄々しく、たくましく生きる日本人像を描いた作品で、再びオスカーに挑んでもらいたいと思う。

すると、結局 「 時代劇 」 に回帰するかもしれないが、武士道精神を世界に発信することで、昨今の軟弱さを見直す機会になれば、それもよいだろう。






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