2008年11月05日(水) |
オバマ 新政権への不安と希望 |
「 我々には、かつてなかったようなことをしようとする人間が必要だ 」
ジョン・F・ケネディ ( アメリカ合衆国第35代大統領 )
We need men who can dream of things that never were.
John F.Kennedy
ケネディ の主な政策は、鉄鋼 カルテル との対決、マフィア との対決。
そして、人種差別問題への介入だった。
人間の感情は複雑極まりなく、「 白か、黒か 」 などといった単純な二極論で片付けられることは、滅多にないものだ。
たとえば、黒人は嫌いだが ウイル・スミス は好きだとか、ユダヤ人は嫌いだが ヒットラー の思想を肯定しないという人は、いくらでも存在する。
今回の大統領選挙にしても、「 どちらかというと黒人は嫌いだが、オバマ に投票しよう 」 と決めた人は、数かぎりなくいたはずである。
つまり、オバマ が勝利したからといって、自由主義者 ( liberalist ) の数が、人種差別主義者 ( racist ) の数を上回った証明にはならない。
もちろん、マケイン に投票したからといって、それで、黒人への偏見が強いと決め付けるのは、よほど頭の悪い人間の発想だ。
決戦から一夜明け、電話で現地の様子を友人に尋ねたところ、これまでの大統領選挙にはなかった盛り上がりで、お祭り騒ぎになっているという。
彼は マケイン に投票したが、日常は黒人を毛嫌いしているわけでもなく、かといって、何の偏見もないかというと、それも疑問だと話す。
具体的に言うと、普段、黒人とは抵抗なく接しているし、友人、同僚、上司が黒人でも問題ないが、「 黒人が大統領 」 というのは、しっくりこないらしい。
彼のような人物まで racist に数えると、liberalist は全体のごく一握りしか残らないと思われ、ほとんどのアメリカ国民が、その範疇にない。
偏見を持つ、持たないより大事なことは、「 正しい選択をする 」 ことであり、民主主義の原則として、多数の支持による決定に従うことだ。
ただ、中には本物の racist がいて、白人至上主義者が、新大統領の暗殺を企てたり、実行する懸念は拭えず、多くの人が、それを心配している。
最新の ジョーク に、「 新大統領が中東から撤兵を実行しても、新大統領の警護に同等の兵力を要するから、軍事費は減らない 」 というものがある。
友人の弁によると、大半の良識あるアメリカ人は、たとえ オバマ の勝利を快く思わなくとも、暗殺などの 「 悲劇 」 は、絶対に避けたいと願っている。
リンカーン、ケネディ、アメリカの歴史は 「 黒人問題 」 に干渉した大統領が暗殺されてきた経緯から、その不安は、絶えず彼らにつきまとう。
不安がある反面、オバマ 新大統領には、冒頭の名言が示す 「 かつてないこと 」 への挑戦に期待する人が多いのも事実で、なかなか興味深い。
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